満天☆の海-2

方位標識をどのくらい離せば安全か

方位標識には東西南北の各方位を冠した4種類の方位標識があり、例えば西方位標識はその西方に、東方位標識ならその東方というように方位標識に冠した方位に可航水域があり、その反対方位に浅瀬、険礁等の危険水域があるという事を示しているのだが、そこで勘違いしてはいけない。方位標識の可航水域は標識からすぐに始まるわけではない。その方向に可航水域があるという事を示しているにすぎないのだ。この点を勘違いしやすいので注意しておきます。

ではどのくらい離せば安全なのかという事になるが、それは海図を調べなければわかりません。先にレポートした亀城礁乗り揚げ事故の場合、亀城礁灯標(西方位標識)から西方約200mで乗り揚げているのだ。

GPSを見ながらその場でコースを決めて走ってる人が意外と多いようだが、仮にNewpecを使ってるGPSだとしても、シングルハンドだと操船しながらじっくりGPSを見る時間はないだろう。海が荒れてたり雨が降ってたり漁船や本船が多かったりで、沿岸航海は操船に集中しなければならないことが多いのだがなー。
複数人で乗船しておりナビゲーション担当を決めていたとしても、もしもGPSで採用しているマップがあまり海図としての精度が高くないとしたらどうだろう?

事故を起こしたくなければ、やはり事前に大縮尺の海図を精査してコースを設定して走るべきだと思うのだが…



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# by mantenbosisan | 2017-09-08 22:34 | 航海情報全般 | Comments(0)

地元でもこんなことになるという教訓

1)船舶事故等調査報告書平成26年9月25日 運輸安全委員会(海事専門部会)議決

事故等番号 2014横第45号

モーターボートXXX(34トン)は三浦市小網代湾での釣りを終え、三崎本港に向けて南西進していた。 船長は、西日が海面に反射して船首方が見えにくかったので、諸磯湾西方沖に設置された定置網のブイを視認することができず、GPSプロッター(定置網の位置が入ってなかった)を見ながら航行していた ところ、本件定置網のブイに目前で気付いて機関を中立とし、続けて後進としたが、17時10分ごろ、前進行きあしで本件定置網に乗り揚げ、本件定置網の垣網のロープを切断し、プロペラにロープが絡まって航行不能となった。船長は、海上保安庁及び本件定置網を所有する漁業協同組合に通報して救助を要請し、同組合所属の漁船の支援により、本件定置網から離脱した後、巡視艇にえい航されて三崎本港に入港した。

=地元とはいえ、濃霧とか強い西日あるいは夜間航行等の視界不良時に備えGPSに定置網の位置を入れておきさえすればこういうことにはならなかった。


2)平成27年横審第8号 裁決 言渡 年 月 日 平成27年7月17日

葉山町所在のマリーナ所属ヨット 亀城礁乗り揚げ 転覆 全損

神奈川県横須賀市荒埼西方沖合には,東西幅最大約1,000メートル南北幅最大約500メートルの亀城礁と称する険礁が拡延して,そのほぼ中央部に西方位標識である亀城礁灯標が設置されており,A受審人は,亀城礁付近を航行する際には,亀城礁灯標の西方沖合500メートルを確保して航行していた。

A受審人は,船長として操船指揮にあたり,小網代湾に到着して錨泊し,昼食を摂ったあと,抜錨して葉山町のマリーナへの帰航の途に就いた。

A受審人は,針路を亀城礁灯標の西方沖合500メートルに向く335度に定め,4.0ノットの速力(対地速力,以下同じ。)で,舵柄による手動操舵で進行した。

亀城礁灯標から169度1.12海里の地点に至ったとき,トローリングによる釣りを行うこととし,同乗者に亀城礁灯標の少し西側に向けるようにのみ指示して操舵を任せ,甲板上で釣りの準備を始めた。

しばらくしてからA受審人は,亀城礁灯標に接近する針路となっていることに気付いたが,亀城礁に接近すれば,海面の色の変化や波の立ち方で分かると思い,険礁に向かっていることに気付かず、亀城礁灯標から224度200メートルの地点において,険礁に乗り揚げた。

乗揚の結果,すぐに離礁したものの,浸水して機関が停止し,全員が他船に救助されたあと,バラストキールが脱落して転覆し,後に引き上げられたが,廃船処分となった。

=上記事故原因は一言で言うと船位の確認不十分という事になるが、同乗者の操船で亀城礁に接近する針路になっていることに船長は気付いたのだから針路を戻せと指示すべきところ、同乗者に遠慮してあまり細かいことを言いたくない。接近すれば危険かどうかわかるだろう、それから変針しても遅くないと思ったのがいけなかった。良く通る見なれた険礁でもこういうことが起こる。暗礁上の海面の色や波の立ち方はいつも同じというわけじゃない。また目測はその時の天気によっても狂いやすい。

KAKESU-3は亀城礁灯標西600m地点にウェイポイントを設定している。亀城礁に限らずコース近くに険礁がある場合はこれ以上接近してはならない地点にウェイポイントを設定してGPSに登録しているので大丈夫だ、と思ったが、安良里近辺はやってなかった。上記事故を教訓にして自戒。西伊豆海域の大縮尺海図は販売してないのだがなんとかしよう。


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# by mantenbosisan | 2017-08-30 21:47 | 航海情報全般 | Comments(0)

海難 その時海保は

実態はどうなってるのか調べてみたら、乗り揚げたヨットを巡視船が引き下ろした事例や、航行不能船を曳航した事例が見つかったが、またその一方で、BAN非会員艇が118番通報したら海保からBANに救助の要請があり、BANから救助実費を請求されたという何とも不可思議なも事例まであった。


2005
BAN非会員ヨット佐島沖機関故障、海保からBANに救助要請(出典2006BANMATE) 

海保に救助要請したら海保からBAN本部に通報あり(=これは不可解。なんでこうなるの? )。BANは非会員ヨットから救助費用の支払い確認を取ってから救助船を派遣。

2006BAN会員横須賀港付近ヨット乗り揚げ事故 巡視船引きおろし(出典2007BANMATE

会員艇からの連絡でBAN本部から海保に連絡。海保が引き下ろし作業を完了後BAN救助船が曳航。=乗り揚げ船の引き下ろしを海保がやった例を初めて発見。

2011年BAN会員Mボート伊良湖岬沖舵故障 巡視船曳航救助(出典2012BANMATE) 

会員艇からの要請で救助艇を派遣するも風浪が強くて救助困難の為海保に救助依頼。巡視船が曳航し途中でBAN救助船が引き継ぐ。

2012年清水港沖Mボート機関故障 巡視船曳航救助(ハザードマップ船舶事故等調査報告書)

2012年清水港沖Mボート過放電 巡視船曳航救助(ハザードマップ船舶事故等調査報告書)

2013年那智勝浦沖BAN会員ヨット機関故障/マスト折損 巡視船曳航せず(出典2014BANMATE) 

会員艇からの救助依頼を受け、強風波浪注意報発令中の為BAN本部から海保に救助依頼。巡視船とヘリが出動するも波が高くて近づけず警戒監視にあたる。BAN本部からの要請で太地港の漁船が出動し巡視船が警戒監視中の該船を発見し曳航救助。=別途記述

KAKESU3の私見

天候が平穏なら巡視船も曳航救助することがあるが、BANに頼めと突き放されることもある。しかし、ちょっと時化てきたらまず巡視船の曳航救助は望み薄のようだ。
人命は特殊救難隊のヘリが助けてくれるが、そうすると船体放棄せざるをえなくなるので、船長は後々のことまでよくよく考えて決断する必要がある。


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# by mantenbosisan | 2017-08-30 13:35 | 航海情報全般 | Comments(0)

時化の海 やはり海保は 手を出さず

2014年BAN年報Vol37より

2013
年4月7日 BAN会員ヨット 大時化の中でオーバーヒートとマスト折損で航行不能 那智勝浦沖


978hpという爆弾低気圧が日本列島を覆い暴風大雨が続いていたが、2013年4月7日14時50分当時、低気圧は東に移動し風は南から北西に変わったが、熊野灘はまだ波の高い状態は続き強風波浪注意報は発令中だった。

新西宮YH所属のヨット、クラリスフォルテは、風が落ちてきたので寄港先の串本港を出てフィッシャリーナ那智に向かったが、那智勝浦沖で風が20m近くに吹き上がった為、メインセールを下してNo.3ジブだけの機帆走に移った(☆KAKESU-3コメント=これは不可解?なぜメインを下したか?ジブを巻いてもメインは維持すべきだったと思う。理由は下記)。

またデッキに設置したGPSが雨で故障しフィッシャリーナ那智の方向が分からなくなり、No.3だけの帆走で那智湾を探して行ったり来たりしているうちに、冷却水を吸い込まずオーバーヒートを起こした上、波にたたかれてマストを折損。

BANと海保に救助を要請。折れたマストをデッキに回収。船体に損傷のないことを確認。
すぐに巡視艇とヘリが到着するが、波が高くてヨットに近づけず。
(☆KAKESU-3コメント=ヘリは何しに来たのか?ここで乗員だけヘリに救助されてたら、船体放棄せざるをえなかったわけで、先日書いた石廊崎沖海難と同じ結果になっていたはず。)

BAN本部からは勝浦港付近のレスキューステーション(RS)に連絡取るも、荒天を理由に契約漁船から次々と出港を断られたが、唯一太地港の契約漁船が出動を了承。

巡視艇が警戒監視中の該船を発見し曳航を開始。巡視艇が警戒伴走して勝浦漁港へ入って救助が完了した。

ということだ。
以下KAKESU-3コメント

先日書いた石廊崎沖海難事故と今回の海難事故の顛末を読んでわかったことは、海が荒れてる時に海保に曳航救助を頼んでもダメだということだ。

今回は幸いにも太地港の漁船が駆けつけてくれたが、救助船が来なかったかもしれない。
じゃあどうすればいいの? 乗員に気力が残っていたらなんとかジュリーリグをつくって沖出しして天気の回復を待つ。色気を出してどこかの港に入ろうなんて思ったらそれこそ危険。陸に近い方が波が悪いし危険がいっぱいだ。


今回遭難したヨットは那智フィッシャリーナの方向がわからず那智湾を行ったり来たりしていたようだが、以前何回も書いてるが那智フィッシャリーナは位置が分かっても安心して入れるような港ではない。もし、那智フィッシャリーナに向かっていたら、ほぼ間違いなく港の入り口で座礁していただろう。

他に思ったこと

冷却水を吸い込まずオーバーヒートを起こしたと書いてあったが、そうかな?
オーバーヒートまで行ってなかったんじゃないかな?
冷却水が送り込まれなくなった原因は、船底のスルハル口が流れてきたビニールなどで塞がった、異物がスルハルや海水濾過器に詰まった等で、海水が来なくなってインペラが空転して破損したのじゃないかと。それで温度が上昇して警報音がなったのだが、そのまま放置してエンジンを掛けっ放してればオーバーヒートするが、警報音が鳴った段階でエンジンを切ればオーバーヒートまで行かないだろう。
大荒れの海でインペラの交換なんかできるわけはないから、天気が回復するまではどうしようもないけど。

マストが折れたのはメインセールを下したのがいけなかったのじゃないかという気がする。ドシンドシン波にたたかれるたびにマストは前に後ろに振り回されてかなりの衝撃を受けるが、メインセールはその衝撃を和らげてくれる働きをするとスティーブコルゲートは言ってるよ⇒操船手順書-4強風帆走時の留意事項


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# by mantenbosisan | 2017-08-29 18:30 | 航海情報全般 | Comments(0)

航行中ペラに海草を巻いた時の処置

シングルハンドのKAKESU-3の場合

装備:
流されないようにヨットに体を結びつけるロープ、草刈り鎌、ロープを切る専用ナイフ、スノーケリングセット、ウェットスーツとウェイト、フォグフォーンなど

航海中は上記のうち必要な物をすぐに使えるようにデッキに準備しておく。夏はウェットは不要。
航海中そのままいつでも潜れるような速乾性の服装で操船し、終わったらヨットを走らせながらデッキのポリタンの水を頭からかぶってお終い。すぐに乾く。

勿論セールは全て下す。周りに船(交差しそうな船)がいる時はいなくなるまで待つか、船の航行の少ない海域まで帆走する(無風と言ったって多少はある)。どのくらい流されるか計算して陸に近い時は沖出しするかアンカーを打つ。

通常は陸から十分離れているので船を漂流させながら潜る。

潜る前に必ずヨットに体を結び付けて潜る。シングルハンドなのでこれは最重要。
潜水作業は
1分以内(スイミングラダーから下りてまた戻るまでの時間)と決めておき1分経ったら作業をやめて周囲をワッチ。
1分で取り切れなかった時はこの作業を繰り返すが、長くはやらないこと。スイミングラダーを下してつかまって片手を延ばせば草刈り鎌がペラに届くので海草ならたいてい一回潜れば切除できる。
捨て網やロープは切れ味の悪い草刈り鎌では難しい。専用ナイフの出番だ。



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# by mantenbosisan | 2017-08-28 19:13 | 航海情報全般 | Comments(0)