航行時にはベンチレーターに蓋
もしかしたらと思って問い合わせてみたらやはり琵琶湖のファルコン沈没事故があってこのような注意書きを入れるようにしたのだそうだ。
調べてみたらファルコンは横転⇒転覆⇒復元⇒沈没となったのだが、いったん復元したのに沈没してしまったのは、船首部のカウルベンチレーターから空気が抜けて浮力を失ったからなのだそうだ。
バウのカウルベンチレーター、コンパニオンウェイをともに解放してあっても横転から転覆に至るまでは大した浸水もしないのだが(せいぜい10%程度)、問題なのは転覆から復元時で、その際ベンチレーターから空気が抜けてコンパニオンウェイから一気に浸水するのだそうだ。
実証実験では復元後はミジップから後ろが沈みマストから前が浮き上がる形になった。
その際船首部が水密状態ならここに空気が残って浮力を維持するので沈没することはない(10%近く空気が残存していたら沈まない)が、ベンチレーターが開いていたので空気が抜けて浮力を失い、ベンチレーターの穴から水を吹き上げながら沈んで行ったようだ。
ベンチレーターの怖さを痛感した。
航行時にはマストから前のベンチレーターは完全に密閉しなければいけないのだ。そして海が荒れてきたらメインキャビン上のベンチレーターもデッキ側から蓋をする。コンパニオンウエイは閉めて衝撃を受けても簡単に開かないようにする。船底部のシーコックも不要なものは全て閉じておく。
参考資料
海難審判ヨットファルコン沈没事件http://www.mlit.go.jp/jmat/monoshiri/judai/h10s/h10s_falcon.htm
コラム128 ヨットファルコンの沈没<金沢工業大学増山教授の考察>http://www.maritime-one.com/column/topics2.cgi?id=1146808947
FALCON(ファルコン)号の転覆沈没事故(5分の1モデルによる事故検証実験)http://sindbad4.sitemix.jp/falcon/slide2/slide2.htm