満天☆の海-2

●ジブファーラーの仕組みとトラブル対策

ジブファーラーの構成
ジブファーラーはセールを下して収納する代わりに、フォアステーに取り付けたヘッドフォイルに巻き込んで収納したり展開するする為のもので、ヘッドフォイル(セールのラフを通すグルーブが2本刻まれている)、ヘッドフォイルを回転させるドラム、そしてジブハリヤードがヘッドフォイルと共回りしないようにする為のトップスイベルで構成されている。
尚、下の写真にあるフィーダー(リストレイナー)はジブハリヤードをヘッドフォイルから引き離すことによってヘッドフォイルに巻き付いて絡んでしまうトラブルを避けるためのものだ。
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ジブファーラーの役割
ジブファーラーはセールダウンして収納する代わりに、フォイルに巻き込んで収納する為のもので、強風時にリーフして帆走する為のものではない。全開状態で使用することを前提にファーリングジブは作られているので、巻き込めばセールの形状が崩れてしまう。すなわち、ピークとタックにテンションを掛けた状態でラフに沿って巻いていくので、ラフに比べてリーチとフットが多く巻き取られ、その結果、セールシェイプ崩れて前方でふくらんでしまうのだ。

だから、その日のコースが上り(アビームより風上)の場合、ファーリングジェノアを上げて出て行って風が強くなったからワーキングジブサイズに巻き込んで走るというのは×だ。上り角度がひどく悪くなり満足なセーリングは出来ないので、その日予想される風に対して全開で走れるヘッドセールを選択して出港する必要がある。風が吹き上がってヒールを抑えきれなくなってからセール交換するわけにもいかないので巻き込んでセール面積を小さくして走るしかないが、セールを傷めるのでファーリングした状態で長時間上りコースを走らない方が良い。一方、フリーのコースを走る場合はセールシェイプの崩れによる悪影響はそれほど大きくはなく、ランニングのコースならほとんど問題ない。

ジブファーラーのトラブル対策
b0114415_16524960.jpg1)ジブハリがフォイルに絡んで巻きついてしまうトラブル
ジブハリヤードのマスト先端出口からトップスイベルまでの距離が長過ぎたり、あるいはフォイルとの角度が小さすぎたりすると、ジブを展開したり巻き上げたりする際ジブハリがフォイルに絡んで巻きついてしまうトラブルが起こりやすい。ジブファーラーのトラブルの90%以上がこれだそうだ。
このトラブルを防ぐにはフィーダーをマストにつけてジブハリをフォイルから引き離せば良い。また、トップスイベルとヘッドセールトップの間にペナントを入れて間隔を広げても良い。

2)ヤマハ28には最初からフィーダーがついていたのだが、そのフィーダーにジブハリ先端が食い込んで、ジブが下りなくなったことがある(オリジナル投稿⇒非公開満天☆の海2008年6月18日)。
ラフが伸びきった古いセールはラフが伸びた分だけトップスイベルが上に上がりフィーダーとの間隔が狭くなっているが、テンションをかけるためにジブハリを引くとフィーダーとの間隔はさらに狭くなり、へたをするとジブハリ先端のシンブルがフィーダーに食い込んでジブが下りなくなることがあるのだ。右の写真。
古いセールを使ってる場合はトップスイベルとフィーダーの間隔が狭くなりすぎてないかチェックし、必要ならセールメーカーに頼んでリカットしてもらうべきだ。セールを外したり付けたりする手間はかかるが費用は大したことはない。KAKESU-3はULLMAN SAILSに頼んだ。

3)ドラムから出るファーリングラインとフォアステーの角度が悪くてファーリングラインの巻きとりやリリースがスムースに出来なくなるトラブルを経験。
ドラムから出て来るラインのヘッドフォイルとの角度が悪いと、ファーリングラインをスムースに巻き取ったりリリースしたり出来なくなるので、ドラムから出るファーリングラインとヘッドフォイルの角度が90度になるように調整すること。
ドラムから出たファーリングラインがフットレールに取り付けたブロック(ガイドブロック、リードブロック)を介してコックピットにリードされているような場合、ブロックの取り付け位置を変更することによってドラムからのリード角度を調整出来る。

4)ドラムから出るファーリングラインがドラムの開口部側面に擦れてファーリングラインの巻きとりやリリースがスムースに出来ないトラブルを経験。
ドラムの下にあるボルトナットを緩めて開口部の左右位置を調整する。別項参照。

5)帆走中にセールを巻き取れなくなるトラブル。
風の強い時に起こりやすいトラブルだが、セールを展開する時に不用意にファーリングラインのシートストッパーを解放してジブシートを引っ張ると、風圧で一気にセールが展開し、ファーリングラインがキンクした状態でドラムに巻き込まれやすい。こうなるとセールを巻き取れなくなりにっちもさっちも行かなくなる。
シングルハンダーが荒天時にバウに行って絡みを解くのは非常に危険なのでそうならないように十分注意したい。そのためには、一気にセールが出て行かないようにファーリングラインをウインチに一巻きしてジブシートを引いて行く。(片方の手でファーリングライン、片方の手でジブシート。)

セールを巻き取る際の注意
1)バックステーが緩んでいるとフォアステイがサギングしてるので、フォアステイにかぶさってるフォイルもたわんでいる。そんな状態でセールを巻き込んでもきれいに巻きこめないし、フォイルの中のフォアステイを傷めてしまう。バックステイを引いてからファーリングすること。巻き終わったら忘れずにバックステーを緩めておくこと。

2)クローズホールドで風が強い時にジブを巻きこもうとするとジブが暴れて大変だ。そんな時はアビームまたはそれ以上に上り角度を落としてやると良い。上り角度を落としてセールが暴れない程度に風を抜きながらファーリングラインを引き込んで行く。

3)当然ウインチハンドルを使わずに手で引き込む。手で引き込むことによって何かに引っかかってたりするトラブルを発見できる。強引にウインチハンドルを使って巻き込めばセールを破いてしまったり、ファーラーに深刻なダメージを与えてしまう恐れがある。
だから、風を抜いているにもかかわらず手で引き込めないくらいのロードがかかっている時はまず原因を調べる。ファーリングラインがドラムの中で絡んでいたりするとやっかいだが、たいていはジブシートがウインチか何かに引っかかってるような単純なトラブルだ。それらの障害を除去してから再度引き込んでいく。

4)風が弱い時や湾内までセーリングで入ってきてファーリングする時は巻き込みが緩くなりがちだ。ジブシートを軽く引っ張りながら(ジブが風をはらんでいるのと同じ状態にして)ファーリングしていけばタイトに巻き込める。

5)ジブのラフを伸ばしきってしまわないように、ジブハリのテンションを抜いておくこと。帆走し終わったらジブのラフにテンションをかける必要はないのだからその時点でジブハリを緩めるくせを付けておけばいいわけだ。

日常メンテ
1)フォイルの中は塩分がたまって凝固しているはずなので、年に1,2回はマストに登ってフォイルの上端から真水を流し込んで塩分を洗い流すべきだ。水を入れたペットボトルを持ってマストに登るしかないが。

2)長期間乗らずにいるとトップスイベルが塩を噛んで回転しなくなりフォイルを捻ってしまったり、また、塩を噛んでドラムが動かなくなったりすることもあるのでトップスイベルやドラムなどの回転部分にも同様に真水をかけて塩分を洗い流してやる必要がある。こちらの方はセールを下せば簡単にできる。

3)一般的なフォイルの長さは2.4mでこれをつなぎ合わせて長く延ばしている。ジョイント部分はビスまたはリベットでとめられているが、台風やセーリング中のパンチングで緩むことがあり、これが緩むとフォイル自体がが屈折したりフォイルに刻まれているグルーブが歪んだりするので、時々ボースンチェアーで点検する。

4)フォイルの下部はドラムの受け口にビス等で留めされているが、ここが緩むとフォイルがドラムの中に沈みこんでターンバックルを傷めることがあるのでこの部分も点検して緩んでいる場合は増し締めする。

5)ドラムやトップスイベルの回転部分にはベアリングが使われているのだが、古いジブファーラーに多く使われているステンレス製ベアリングは長年の使用による磨耗、劣化で、ドラムやトップスイベルの側面に傷をつけ動きが鈍くなっていることが多い(寿命は約10年と聞く)ということなので注意が必要だ。尚、今のファーラーに使われている硬質樹脂のベアリング(デルリン、トロン)は腐食による運動性能の劣化はほとんどない由。
(参考資料:舵2005年6月号P134~138)
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by mantenbosisan | 2012-01-02 23:31 | 装備(改定版)