人気ブログランキング | 話題のタグを見る

満天☆の海-2

三河湾ヨット座礁沈没事故再検証

先月の下田の事故でH22.10. 8に発生した 愛知県形原漁港に於けるヨットの消波ブロック乗揚、沈没事故を思い出した。
機関故障、セールも揚がらず(ハリヤードやシートが絡みつくなどして)操船不能状態で漂泊中に風波に圧流されて漂流という事態はどんなヨットにも起こり得ることだが、その時点での自艇位置、リーショア―(風下に陸)なのか否か、風波の強さと方向、上げ潮か下げ潮か、周囲の状況などの正確な現状把握と、圧流を食い止めるための投錨、ワッチがいかに重要かということを今更ながら思い起こした。

三河湾の事故を掲載したブログ
http://blog.livedoor.jp/orionhyodo/archives/51102448.html

緊急事態に直面し復旧作業に没頭しているとあっという間に時間が経ってしまうものだが…、それにしても、
ブログによると当人は岸から十分離れていると思っていたのでワッチをしないで復旧作業に専念していて、テトラポットに乗り揚げて、なんでこんなところにテトラポットがあるのかとビックリしたとのことだ。当人は機関停止から座礁まで10分しかたってないと思っていたらしいが、審判記録によれば1時間20分経過していたようだし、当人は漂泊に入った地点から風下の防波堤まで十分な距離があると見ていたようだが、審判記録によれば実際には1㎞もなかったようだ。
その他にも座礁から沈没に至る経緯等もブログと審判記録(下記参照)ではだいぶ食い違ってる。

審判記録概略 
発生年月日22.10. 8 乗揚 (消波ブロック)愛知県形原漁港  言渡年月日23.6.16
A受審人は,愛知県形原漁港において,陸岸に向かって東南東風が強まる状況下,クルージングを終えてヨットクラブに帰航するため北上中,機関が自停したために漂泊して救援を待つ場合,そのまま漂泊を続けると同風で圧流され,形原漁港東防波堤の東側に敷設された消波ブロックに乗り揚げるおそれがあったから,投錨するなど圧流防止の措置を十分にとるべき注意義務があった。しかしながら,同人は,機関室で機関を再起動することに気を奪われ,圧流防止の措置を十分にとらなかった職務上の過失により,圧流されて船尾を防波堤の消波ブロックに乗揚させるに至った。

審判記録全文↓




海難審判所 採決の閲覧について http://www.mlit.go.jp/jmat/saiketsu/saiketsu.htm
横浜地方海難審判所H23船舶種類別記録
http://www.mlit.go.jp/jmat/saiketsu/saiketsu_kako/23nen/yokohama/yh23saiketsu_ships.htm
ヨット セネリー乗揚事件裁決記録
http://www.mlit.go.jp/jmat/saiketsu/saiketsu_kako/23nen/yokohama/yh2306/23yh009.html
平成23年横審第9号
             裁    決
       ヨット セネリー乗揚事件

  言 渡 年 月 日 平成23年6月16日
  審  判  所 横浜地方海難審判所(甲斐賢一郎)
  理  事  官 黒田敏幸
  受  審  人 A
     職  名 セネリー船長
     操縦免許 小型船舶操縦士

             主    文
 受審人Aの小型船舶操縦士の業務を1箇月停止する。

             理    由
 (海難の事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
 平成22年10月8日16時30分
 愛知県形原漁港

2 船舶の要目
 船 種 船 名  ヨット セネリー
   登 録 長  7.01メートル
   機関の種類  ディーゼル機関
   出   力  5キロワット

3 事実の経過
 セネリーは,昭和55年に第1回定期検査を受け,全通一層のデッキ下中央部にキャビン及び同後部に機関室を備えた1本マストのプレジャーヨットで,A受審人が1人で乗り組み,知人1人を同乗させ,三河湾及び伊勢湾のクルージングの目的で,船首0.25メートル,センターキール部1.50メートル,船尾0.35メートルの喫水をもって,平成22年10月5日13時00分愛知県三谷漁港の東隣に所在するBヨットクラブ(以下「ヨットクラブ」という。)を発し,愛知県佐久島,三重県神島及び同県答志島でそれぞれ停泊したのち,8日09時45分答志島和具漁港を発進し,ヨットクラブに向けて機走により帰途に就いた。
 ところで,A受審人は,セネリーにジブセール及びメインセールを積み込んでおり,今回のクルージングの前半には機帆走を行っていたことから,必要に応じて機走,帆走,機帆走を行える状況にあり,また,重さ5キログラムのダンフォース型錨,長さ3メートルのチェーン及び直径12ミリメートル長さ28メートルの合成繊維製のアンカーロープを備えていたので,必要に応じて錨を使える状況で,自身は錨を投入した経験はなかったが,ヨットクラブのヨットが使用しているのを見知っていたので,錨の使用方法等については十分に承知していた。
 こうして,A受審人は,発進後,答志島南方沖合から伊良湖水道北部を横断したのち,三河湾の中山水道に入ると強い東南東風を受け始め,13時過ぎには立馬埼を航過し,東南東からの風波の影響で左右約20度ずつの横揺れをしながら続航し,愛知県西浦半島御前埼の約100メートル沖合を通過してヨットクラブに向った。
 A受審人は,14時59分三河港形原東防波堤南灯台(以下「南灯台」という。)から187度(真方位,以下同じ。)1,320メートルの地点で,針路を039度に定め,機関を全速力前進の8割程度にかけ,4.5ノットの速力(対地速力,以下同じ。)で,折からの東南東風により,左方に5度圧流されながら,ティラーによる手動操舵で進行した。
 15時10分A受審人は,南灯台から093度700メートルの地点に達したとき,突然機関が自停したので,機関室に降りて機関を点検したが,原因が分からず,再起動することができないまま漂泊しているうちに,船首が130度に向いた状態で,折からの東南東風によって310度の方向に0.35ノットの圧流速力で漂流し始めた。
 その後,A受審人は,帆走を試みるため,セールを揚げかけたものの,ジブセールもメインセールも同様にセールを引き上げるハリヤードが強風と横揺れのためマストステップに絡まって解くことができず,帆走に移れずに漂泊しているうち,15時50分南灯台から062度450メートルの地点に漂流してきたとき,キャビン内で休んでいた同乗者の帰宅時刻が迫ったので,ヨットクラブの近くで営業する舟艇販売業者に電話を入れ,事情を説明して曳航を依頼したのち,漂泊を続けた。
 A受審人は,業者の到着を待っている間に,再度機関室に入って機関の起動を試みることとしたが,錨を入れて漂流を止める措置をとらないと,形原漁港東防波堤に向かって圧流され,その東側に敷設された消波ブロックに乗り揚げるおそれがあることを認め得る状況であったが,機関室で機関を再起動することに気を奪われ,このことに気付かず,投錨するなど圧流防止の措置を十分にとることなく,310度方向に漂流しながら漂泊中,16時30分南灯台から009度500メートルの地点において,セネリーは,船首が130度に向き,圧流速力0.35ノットのまま,同消波ブロックに船尾が乗り揚げた。
 当時,天候は晴で風力4の東南東風が吹き,潮候は上げ潮の末期にあたり,視界は良好であった。
 乗揚の結果,船尾トランサム板に破口を生じ,業者のボートで曳航途中に同破口からの浸水で沈没し,のち廃船処理された。また,A受審人及び同乗者は,防波堤に這い上がっていたところを業者のボートによって救助された。

 (原因及び受審人の行為)
 本件乗揚は,愛知県形原漁港において,陸岸に向かって東南東風が強まる状況下,機関が自停したために漂流して救援を待つ際,圧流防止の措置が不十分で,防波堤に向かって圧流されたことによって発生したものである。
 A受審人は,愛知県形原漁港において,陸岸に向かって東南東風が強まる状況下,クルージングを終えてヨットクラブに帰航するため北上中,機関が自停したために漂泊して救援を待つ場合,そのまま漂泊を続けると同風で圧流され,形原漁港東防波堤の東側に敷設された消波ブロックに乗り揚げるおそれがあったから,投錨するなど圧流防止の措置を十分にとるべき注意義務があった。しかしながら,同人は,機関室で機関を再起動することに気を奪われ,圧流防止の措置を十分にとらなかった職務上の過失により,圧流されて船尾を防波堤の消波ブロックに乗揚させるに至った。
 以上のA受審人の行為に対しては,海難審判法第3条の規定により,同法第4条第1項第2号を適用して同人の小型船舶操縦士の業務を1箇月停止する。

 よって主文のとおり裁決する。

三河湾ヨット座礁沈没事故再検証_b0114415_06574772.jpg

by mantenbosisan | 2014-12-01 08:03 | 緊急時対応 | Trackback | Comments(0)
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。