オイル上がり・オイル下がり再掲
(1)オイル上がり
オイル上がりとは、ピストンリングの磨耗や膠着、シリンダー内壁のスカッフィング(引っかき傷)などが原因で、ピストンとシリンダー内壁の隙間からオイルが燃焼室に上がって燃え、排気管から白煙又は青煙を排出するトラブルのことで、オイルの急減を伴う。尚、オイルが低い温度で燃焼すると白煙となり、高い温度で燃焼すると青煙を排出する。また、財団図書館「1級舶用機関整備士指導書第6章運転状態の診断とトラブルシューティングー2.6 排気ガス色の異常」によるとオイル量過多や過冷却でもオイル上がりが起きるとのことだ。
ピストンリングが磨耗してしまった場合はピストンリングの交換しかないだろうが、膠着ならオイル添加剤で直るかもしれない。
ピストンリングの膠着というのは、ピストンにあるピストンリング溝にカーボンやスラッジなどが溜まって、ピストンリングが固着して動けなくなることで、その結果シリンダーとの間の気密性が保てなくなってオイル上がりが発生するわけなので、この膠着が取れればなんとかなると考えるわけだ。ヨットで実際にオイル上がりが改善したと報告されている添加剤は、「バーダルのRING-EEZE」、「ダイアルベックスリバイブ」、「ゾイル」の3つだ。
シリンダーにスカッフィング(引っかき傷)があるかどうかはシリンダーヘッドを外してピストンを押し下げて見ればわかるので、自分でシリンダーの内壁をペーパーで研磨して直してしまう人もいるが、スカッフィングが深い場合はシリンダーをボーリングした上でピストンをオーバーサイズピストンに交換する必要があるようだ。
(2)オイル下がり

オイル下がりというのは、バルブステム(吸気弁の軸)とバルブガイドの隙間を塞いでオイルの侵入を防いでいるバルブステムシール(ゴム製のシール)が、硬化して弾性を失うことが主因で、シリンダーヘッドのオイルがバルブステムとバルブガイドの間の隙間を通って燃焼室に入って燃えるという現象でオイルの急減を伴う。
自分でバルブステムシールを交換して直してしまう人もいるが、普通のヨット乗りはそうはいかない。業者に頼んで修理するか自分でオイル添加剤を試すくらいしか思いつかない。オイル下がり用添加剤としては、Risloneバルブシールリペア(オイル下がり専用)RP-44223 、PLUS91、ワコーズのエンジンシールコートなどが販売されている。
(3)煙の出方による「オイル上がり」、「オイル下がり」の見分け方
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| 始動時、アイドリング時、低負荷時 | 走行中 |
| オイル上がり | 煙はほとんど出ない | 回転を上げると大量に吐出 |
| オイル下がり | 煙を吐出 | 煙はほとんど出ない |
オイル上がり : オイルはピストンの往復運動によって下から押し上げられて燃焼室に侵入するので、エンジン回転数が低い時は燃焼室に侵入するオイル量は少なく、回転数が高くなると増加する。このため、始動時やアイドリング時は煙はほとんど出ないが、走行中には煙を吐出する。
オイル下がり : オイルはピストン下降によって吸気管内(=インテークマニホールド内)に発生する負圧で吸い込まれて燃えるのだが、エンジン回転数の低いアイドリングや低負荷時には吸入負圧は大きくなるのでオイル吸い込み量が多くなって煙を吐く。一方、エンジン回転を上げると負圧が小さくなるのでオイルの吸引量も少なくなり煙はほとんど出ない。さらにエンジン停止中にはバルブステムとバルブガイドの隙間から漏れたオイルが溜まっているので、始動時に一気に燃えて煙を吐く。
(4)予防策
オイル上がりもオイル下がりも、エンジン各部の経年劣化やエンジンオイルの劣化が原因となるので、古いエンジンには粘度の高いエンジンオイルを使用し、且つオイルの交換サイクルを早めることが必要。
また、長時間のアイドリング充電や、短時間だけの機走しかも低速運転というヨット特有の使い方は、オイルの劣化を早めるので留意が必要だ。エンジンオイルについての基本知識という車のサイトに次のようなことが書いてあった。
エンジンオイルの温度は高すぎても、低すぎてもよくありません。スポーツ走行などで油温が上がり過ぎることや、逆に近所までの買い物や送り迎えだけの使用で油温が低すぎる使用状況は、エンジンオイルの性能を劣化させる大きな原因です。
(5)参考
ヨット空海の道楽日記というブログを見ると、この方は自分でオイル上がり、オイル下がりの修理をやっているので、コンタクトすればアドバイスをもらえるかもしれない。
ピストンリングとは:カーライフサポートネット、MONOist 本田宗一郎も苦戦したピストンリングの設計 (1/3)

