スタンチューブとグランドパッキンの仕組み-2(舶用機関整備士指導書)
下記は2級舶用機関整備士指導書(https://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/00198/mokuji.htm)1.6船尾管および船尾管軸受1)船尾管の記述、および1.7 船尾管軸封装置1)海水潤滑軸受の記述から自分用に抜き書きしてまとめたもの。このままヨットの小型機関に当てはまるわけではないが、参考になる記述は多い。尚、挿絵などは分かりやすいように注釈を付け一部加工した。正確を期すためには原文を参照されたい。
第3章1.6 船尾管および船尾管軸受 1)船尾管からの抜き書き
船尾管とは、プロペラ軸あるいは多軸船の場合船尾管軸(船尾軸)が船体を貫通する箇所に装備する筒状の構造物をいい、軸を支持するものである。海水潤滑式船尾管の場合、青銅製ブッシュに内張りした支面材(リグナムバイタ)あるいは青銅製ブッシュまたは、FRPに内張りしたゴム軸受、樹脂軸受などを船尾管本体に圧入し、軸受とし、海水によって冷却、潤滑をする。船尾管には一般に船尾側船尾管軸受と船首側船尾管軸受を設ける。プロペラを支持する船尾側船尾管軸受の長さは、船舶機関規則などで定められている。船首側船尾管軸受は、一般に軸受としての役目よりも、プロペラ軸を船尾管に挿入する時のガイドの目的で装備する場合もある。また、軸系アライメント上※設けない場合もある。※いわゆる軸芯出し(シャフトアライメント)調整作業のこと。
下図は第3章1.4プロペラ軸記載図を一部加工

第3章1.7船尾管軸封装置 1)海水潤滑軸受 (1)グランドパッキン方式からの抜き書き
船尾管軸封装置は軸系の船体貫通部からの船外の水が船内に流入するのを防ぐための装置で、グランドパッキン方式は3・27図に示すような簡単な構造で従来から使用されている。
グランドパッキン方式は、パッキン箱※を設け、その内部には通常2つ割れのパッキン押えで締付けている封水用のパッキンを配している構造である。※パッキン箱は英語名では詰め込む箱という意味のスタッフィングボックス。
パッキン部は強い船尾振動を受けるので、パッキンは相当苛酷な使用条件に耐えなければならない。またパッキンの軸との共回りは海水漏洩に対して致命的であるので、パッキンの寸法は慎重に決める必要がある。このためにパッキンをやや長目(パッキン厚さの1/2程度)に切って、正しく切口を合わせ、1本ずつ確実に奥まで押し込み、パッキンの密度の均一化をはかる。そしてパッキンの外周側の摩擦を大きくすることおよびパッキン箱の奥の端面部の摩擦を増すための考慮も必要である。
パッキン全数を詰め込んだ後、パッキングランドを取り付けて強く押し、締め付けボルトにナットをかけて、手でいっぱいに締める。この点を基準点とすれば、ここから〔(そのパッキンの呼び寸法)×(本数)〕の5%程度※締め込んだ状態で運転を始め、適当な海水の漏洩量になるようにパッキングランドを増締める。パッキングランドの温度は海水温度プラス30℃までが適当と考えられるので、パッキンの締め過ぎには注意を要する。またパッキンの締め過ぎによるプロペラ軸スリーブの異常摩耗は避けがたい。※わかりにくい表現だが、一本のパッキンの厚み×入れたパッキンの本数×5%。

グランドパッキンに関して特に注意しなければならないのは、海水漏洩量の増大、プロペラ軸スリーブの摩耗、パッキンと軸との共回りなどである。
グランドパッキンを締めた場合のパッキンと軸との接触面圧は3・27図のようにグランド側から奥に行くに従って順次面圧が低くなり、シール作用で重要な奥の方のパッキンの面圧が不足する傾向にある。これにより漏洩量の増大やパッキン共廻りが生じやすい。このためグランドパッキンの締付けが過大になりがちでグランド近くの面圧が高くなり軸摩耗を生じやすい。従ってパッキン取付時には手前から奥まで面圧がなるべく一様になるように努める必要がある。
次にパッキン取付時より運転時までの要点を順を追って述べる。
(1)パッキンの切断は軸外周に巻付けて、パッキン厚さの1/2程度長目に切る(3・28図参照)。そしてばらばらにならないように糸でしばる。
(2)パッキンはパッキン箱の寸法に合ったものを使用すべきであるが、太さの調整が必要な場合、ハンマ等で叩かず、バイペでロールする。
(3)パッキン挿入時には、切口を120度ずつずらして合せ面を突き合せて外周に張らすようにして一番奥から1本ずつ木片を当てて、軸になじませながら圧縮していく。
(4)進水時にはグランドを取付け、ナットを掛けて指で一杯に締めた後、片締めにならないようにスパナでパッキン箱深さの5%を目安に追締めする。
(5)進水後漏れの状態を見て徐々に増締めする。
(6)航行中は少しずつ締付け、一度増締めすると15~30分ぐらいは様子を見る。漏洩量は軸径にもよるがパッキン摺動部(しょうごうぶ)の潤滑、冷却の点から5~10l/hを目安に調整するとよい。 ←ヨットでこんなに出たら水没する!!
3・28図パッキンの切断例


