御前岩と大根バエ浅礁域の危険性と迂回ルート
2012年8月30日御前崎港マリーナ出港後、御前岩灯台の北方から撮影した御前崎東沖。右の崖上に御前崎灯台、画面左端に海上にぽつんと建つ御前岩灯台が見える。(クリックで拡大)

潮流
御前埼南方及び遠州灘では上げ(下げ)潮流は西南西(東北東)方へ流れ、御前埼南方ではほぼ高、低潮時に、遠州灘中央部では高、低潮時の1~2時間後に転流する。大潮期の平均流速は、御前埼南方では1kn程度に達するが,同埼の東方及び遠州灘中央部では0.2kn 程度だ。(本州南東岸水路誌)
水深
駿河湾は深海というイメージがあるが、それは駿河湾内部のことで、御前崎から南はもう遠浅の遠州灘と思った方が良い。駿河湾西側の200m等深線は御前岩灯台の東方約4nmを通り裾広がりに海岸から離れて行っている。従って大根バエの外側であっても尚浅く、御前岩灯台から南東方向に1nm離れても水深は20mしかない。2nm離れてやっと40mほどになるが、それ以降は8nm離れても水深はほとんど変わらない。
大根バエ
海図記載の御前岩を囲む危険界線(下記参照)を含み、その南に連続して広がる浅礁域のことで、海図では水色(水深10メートル未満を示す塗色)に塗られている南北約1700m東西約1300mの範囲内にある。
注:海難審判判例を読むと大根バエと称される水深10m未満の浅礁域の範囲は南北約1000m、東西約500mとなっている。
御前岩危険界線海域
御前岩灯台(位置34-35.87 138-15.61)を取り囲み、南北に約700mにわたって広がる干出岩を含む水深0.9m以下の岩礁で、海図では危険界線で囲まれている。
海図W1075を参照すると、御前岩灯台から危険界線北端までの距離は約300m、東端までは約300m、南南東端までは約400mだ。
下の写真は2012年8月30日御前崎港マリーナ出港後、北から撮影した御前岩灯台。

参考(御前崎沖の海難事故例)
ヨットT御前岩乗り揚げ事件 https://mantenbosi.exblog.jp/28049994/
貨物船睡魔に襲われ御前岩乗り揚げ https://mantenbosi.exblog.jp/28048118/
2)避険線、迂回ルートの検討
大根バエ迂回ルートとしては御前岩灯台の東海面を通るコースと西海面を通るコースがあるが、西海面は航行予定がないので除外した。
波は水深が浅くなるにつれて、波長が短く波速は遅く波高は高くなる(浅水変形)という性質を持っているので、気象情報(広域)の波高をそのまま御前崎沖に当てはめて航行するのは危険だ(https://mantenbosi.exblog.jp/28064247/)。御前岩周辺海域は遠浅で根があちこちにある好漁場なので多くの釣り船が集まって来るが、風力3、有義波高1.5mの気象条件であってもブローチングを引き起こす波浪が発生しやすく、漁船は注意を払っているようだ。
潮流、海流、風波等の影響で、知らず知らずのうちに危険海域に流されないようにする為には出来るだけ離れて水深の深い海域を航行した方が安心なのだが、ヨットは漁船のような船型に比べればブローチングにも強いし(横倒しになっても持ち直せるという意味で)、孤高の三本足灯台のもっと近くを走ってみたい気もするので、改めて海図を検討してみた。漁船に比べれば波に強いとは言え、東の風が強い時にトラブルで航行不能になったら短時間で西の危険海域に流されるので、接近しようとは思わないが。
避険線設定

大根バエとその周辺の10m未満の浅所を取り囲んだ下記3点を結んだ線で、この外側は水深10m以上の海域となる。
・BN(大根バエ北方の水深7.7mの浅所の北) 位置:34-36.70 138-15.70
御前岩灯台から0.85nmN(約1600m北)、御前岩危険界線から0.70nmN(約1300m北)
・BE(大根バエ東北東の水深6.5mの暗岩付近) 位置:34-35.82 138-16.30
御前岩灯台から0.57nmE(約1000m東)、御前岩危険界線から0.45nmE(約800m東)
・BS(大根バエ南端の水深6.4mの浅所付近)、位置: 34-35.15 138-15.60
御前岩灯台から0.70nmS(約1300m南)。御前岩危険界線から0.50nmS(約900m南)
即座礁する危険な御前岩危険界線海域からもある程度距離を取っており※、水深も10m以上あるので、波が無く風向が西寄りならトラブルで航行不能になったとしても危険界線に圧流される心配もないので、この第1避険線までは航行可と言えると思う。
※3点を直線で結んだため、御前岩危険界線海域に最も接近する所では約0.2nm(400m弱)しか離れておらず、航行不能となり2knの速さで危険界線方向に流されれば6分で到達するが、だいたいは0.45~0.7nm離れており、2knで流されても14分から21分の猶予があるので、アンカーを打つ時間はある。
しかし、安全を見て御前岩危険界線海域からもう少し距離を取りたい場合は次の第2避険線だ。
第2避険線(このラインの外側が水深20m以上の海域)
御前岩灯台から1nmの円周上に置いた下記3点を結んだ線から外は水深約20m以上の海域だ。
・G岩NE: 34-36.60 138-16.40 避険線から0.47nm、危険界線から0.80nm
・G岩E : 34-35.82 138-16.83 避険線から0.44nm、危険界線から0.86nm
・G岩SE: 34-35.05 138-16.35 避険線から0.54nm、危険界線から0.80nm
危険界線まで約0.8nmということは、航行不能になり仮に2.0knの速さで危険界線方向に流され始めたら座礁する迄の猶予は24分だ。
その時の風力/風向、波高/波向、潮流から判断して、第1避険線まで寄るか、第2避険線上を走るか、あるいはもっと外側を走るか決めれば良いと思う。尚、このあたりは海難も多く沈没している船もあるので海図に記載されている危険全沈没船はマークしておく必要がある。
下図はクリックで拡大可。

上記で参照した海図はW1075の1/100,000海図。
御前崎港周辺の大縮尺海図はW1077がある。これは御前岩危険界線がぎりぎり入るところまでしか入ってないのでので購入してないが、御前岩の西側を航行して御前崎港にショートカットしたいならW1077は必須だろう。
尚、御前岩灯標は海上に設置されているので灯台と言わず灯標と称していたのだろうと思うが、2013年に晴れて御前岩灯台と改称された。あれだけ立派な灯台なので当然と言えば当然だ。
浅瀬については海保の海の豆辞典http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN6/5_sodan/mame/index.htmlに「瀬戸内海の浅瀬について」が紹介されている。
注:本稿は2018年1月22日に作成したものを編集し直したもの。

