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満天☆の海-2

ディーゼルの白煙黒煙ーうっかりミスが原因の発煙事例


1)燃料給油口を閉め忘れて雨に降られる
結果は自明の理だが、エンジンをかける前に水を抜いてしまえばいいのだ。以前、小雨の時に一晩でどのくらい水が溜まるか給油口と同じ位の大きさの口のビンを使ってテストした事があるが、たいした量じゃなく、油水分離器で十分抜き取れる量だなと安心した。しかし、それも雨の降り方次第なので、燃料タンクの水抜きは普段からやり慣れておいた方がいい。道具さえそろえておけばたいした手間じゃない。

2)オイル給油口を閉め忘れてエンジンをかける
オイルが飛び散りエンジンルームの防音材に染み込むし、エアーフィルターが吸い込んでオイルまみれになる。そして、
エアーフィルターが目詰まりを起こして黒煙が出る⇒エアーフィルターの洗浄か又は交換。
オイルが燃焼室に吸い込まれて白煙又は青煙を出す⇒飛び散ったオイルの除去。

うっかりミスというのは普通じゃ考えられないような凡ミスを、ついうっかりやってしまうことなんだが、身近にそんな例は事欠かなかった。一時隣組みになった船では停泊中に夜間の落水事故が起きたし、反対隣りにいた船はクルージング中にこともあろうに座礁頻発海域として有名な湾に海図もろくに見ないで入って行って乗り揚げ事故を起こしてしまったし、その後に隣組になった人はたいがいのことは経験しているようななんともすさまじい古強者だったし、さらにその向こう隣も夜間に岸壁で落水して気を失ってるところを救助された。どうして自分の船の周りにはそんな人たちばかりいるんだろうと不思議だったが、たまたまそんな人たちばかりが安良里に集まって来たわけじゃないだろうから、海でミスを起こす確率というのは、実は極めて高いのかもしれない。しかし、誰一人として、もう懲りたと言って海から離れた人はいなかった。海の男はたくましい。

昔あったyachtMLに頻繁に登場していた島津さんというオールドソルトの言葉をここでもう一度引用する。
「よく言われた言葉に、(思考・判断能力は)酔っ払い2分の1、海上3分の1、時化の海上10分の1、というのがあります。平時でも海(船)上では酔っ払い以下の思考能力に落ちるのだから、日頃からの経験がそのまま100%その人のシ-マンシップに上積みされたとしても、最低10 回は同じ経験をしないと同一条件下でもまともに頭と体が動かない、ということになりましょうか。」
「時化というのはイヤですねえ~。何回経験したとしても怖いものではないでしょうか。私思うに、その怖さには大きくわけて2つあると思います。一つは、そのフネの責任者以外で乗船しているときの怖さ。これは専ら自分自身の安全が脅かされつつあるときの恐怖。二つ目は、船長なり艇長なりで乗船し、乗員・乗客・貨物・船体等を含めた自分以外の存在がある場合の恐怖。仮に気象・海象条件を全く同一のものとすれば、後者は前者より何倍も大きいものと思います。自分の責任が大きければ大きいほどそれに比例するのが恐怖です。(それに伴う頭脳の混乱→俗に言うアガリ、を含めて)しかも、この恐怖というのが曲者でして、通常一般的にはこの恐怖に反比例してその場において自分が発揮し(なければならない)うるシ-マンシップが低下する、という誠に具合の悪い傾向を示します。」

上記を引用したからと言って、海でミスが起きるのはしかたのないことだと言っているわけじゃない。それじゃ身もふたもない。海の上では凡人の頭は働かなくなるのだということは、もうこれは経験的に言って事実なんだからしかたないと受け入れて、その上でミスを防ぐにはどうしたらよいかを自分なりに考えて、二重、三重の防御策を講じて日々努力をしていれば、運に見放されなければミスを犯す回数も少しは減るだろうし、ミスを犯したとしても取り返しのつかないような重大事故は防げるかもしれないと思っているのだ。



by mantenbosisan | 2020-06-01 22:26 | エンジン(トラブル) | Trackback | Comments(0)
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