満天☆の海-2

カテゴリ:操船(主にsinglehand)( 21 )

ブローチングのメカニズムーヨット

1.ヨットのブローチング

ヨットのブローチングには2種類ある。一つはセールを展開しているヨットならではの強風時に発生するブローチングで、もう一つは動力船と同じく高波時に発生するブローチングだ。

1-1強風時に発生するブローチング

 強風時のブローチングはフリー帆走のスピンランでは頻繁に見かける光景だ。

 

フリーではセールを外側に出すのでCE(セールの効果中心)CLR(艇の側面抵抗中心)から外側に離れてウェザーヘルムが増大する。そして風が強まれば強まるほどウェザーヘルムが増大するのだが、それに加えてヒールすれば(ローリングした場合も)、CE(セールの効果中心)CLR(艇の側面抵抗中心)から外側にずれるので、更に増大する。

 

強風下ではこのように強いウェザーが発生するので、スピン帆走時はもちろんのことスピンなしのブロードリーチでも、強いブローを受けてオーバーヒールさせてしまうと舵も効かなくなり、一気に風上に切り上って、へたをするとそのまま横転する。これが強風時の一般的なブローチングで、当然だがスピン展開時の方が派手にブローチングする。 幸いにしてヨットの復原力は大きいので海難にまで至る例は稀だが、波高の高い時はちょっと厄介なことになる。

ブロードリーチ(クオーターリーとも言う)は、アビームより下(シモ)の帆走の中では最も速く走れるゾーンで、ほとんどアビームと変わらないスピードが出るが、その分、強風時は非常に強いウェザーヘルムで風上に切り上るのを舵で防ぎ切れなくなることもある。KAKESU-3ではワンランク上のオートパイロット(ST2000)を付けているが、激しい力で抑えつけられてティラーから外せなくなり、フリーズ状態になったまま急激に風上に切り上り、非常に怖い思いをしたことがあった。強風時のオートパイロットの使用は要注意だ。

1-2高波時に発生するブローチング

  ブローチングのメカニズムー小型船に書いたが、ブローチングは船尾後方20°から40°からの斜め追い波時がもっとも発生しやすいとのことだ。風と波が同方向とするならば、それはヨットではブロードリーチくらいかと思われる。

船尾後方20°から40°方向からの斜め追い波に追いつかれたヨットは、船尾が波の谷間から頂部に至る過程で前傾姿勢になる。バウが沈みスターンが上ればCLRが前方に移動するので、1-1記載のフリー帆走時のウエザーヘルムに加えてまた新たなウェザーヘルムが発生する。

そして追い波時にはヨーイングも発生している。ヨーイングを誘発する波の回転運動の水流は、この波の谷間では波の進行方向とは逆向きに流れるので、右舷斜め後方から追い波(&風)を受けるヨットはバウを右方向に振られ、左舷斜め後方から波(&風)を受けるヨットはバウを左方向に振られる。すなわち、波と風が同方向とするならばウェザーヘルムと同じ風上方向に振られるのだ。

波の回転運動の強大な水のエネルギーとウェザーヘルムが重なってバウは一気に切り上りながらヒールする。ヒールすれば更にウェザーは増し、舵を切っても効かず、オーバーヒールしてそのまま横転ということになる。



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水流のエネルギーとウェザーヘルムは共に波が高いほど強くなるし、傾斜もきつくなるので波乗り(サーフィン)状態になって舵効を失いやすい。蛇効を失ってバウがフラフラしてる時に、上述のようなヨーイングが発生すれば横転しやすいことは容易に想像つく。

これが斜め後方からの追い波時のブローチングだ。そこに波が崩れて来て覆いかぶさるとかなり深刻な事態に発展する。

 

 

2.ブローチングを防ぐには

ブローチング防止策を、ウェザーヘルム対策、ヨーイング対策、両者に共通する対策の三つに分けて整理してみた。

2-1 ウエザーヘルム、ヨーイング共通対策

  大舵は厳禁、小舵角ですばやく対応

波の下り斜面ではバウを振られやすいが、大舵を取ると水流が乱れて舵が効かなくなるので大舵は禁物だ。周囲の状況を注意深く観察し、船首尾が振られる予兆を感じたら素早く小刻みに対応して針路修正する。

セーリングクルーザー虎の巻(舵社)には次のように書いてある。波に追い越され、バウが下がり始めるとバウは風上に振られるので、その直前にベアする方向に舵を切る。少ない舵角で、舵を切るというより当てる感じだ。ヨットがラフし始めてからそれを修正しようとすると、舵角は大きくなってしまう。大きく舵を切ると大きく戻さなければならなくなり、蛇行も大きくなる。船がラフし始める前の早いタイミングで舵を切ることで、少ない舵角で済み、よりまっすぐ、ブローチングしにくく走りぬくことが出来る。

関根照久さんの「クルーザーの乗り方」(舵19922月号から連載)には次のように書いてある。舵角を大きく切り過ぎると水流が乱れて舵が効かなくなります(ストール、失速)。このような時にはヘルムスマンはラダリングするような調子で急激にラダーを動かし、水流をラダー表面から離さないようにします。

 

 

2-2ウェザーヘルム対策

早めのリーフ

後方海面に注意して海が荒れてきたら風上航の時よりも早めにリーフしてウェザーヘルムを減らす。大舵を防ぐ為にも早めのリーフが大事。

ブームバング、バックステイを緩める

ブームバングは緩めてるか?ブローチングしそうになったら直ちにバングを緩めて風を抜き、ウェザーヘルムを減らす必要がある。いくらシートを出してもセールはサイドステーやスプレッダーに当たって(スプレッダーが後にスウェプトバックしている艇は特に)それ以上セールが出ず風を抜けない。そうなると風を逃がすにはバングしかない。また、バックステイが引きっぱなしになってるならすぐにフリーにしよう。バックステイを引けばマストが後傾してウェザーが出る。バックステイは風上帆走時にセールトリムするためのもので、それ以外の時に引くのは百害あって一利なし。

メンを下しジブ1枚にする

ジブ一枚にすればウェザーが減り、追っ手なのでマストへの負担も心配ない。その後の上りのレグがなければジブ一枚にするのは良い方法かもしれない。関根さんの「クルーザーの乗り方」にも次のように書いてある。風下に向かうコースの時には、メインを下してジブだけにするとブームパンチの心配もなく、船を風上に向けないでいつでもセールを下せます(ファーラーなら更に簡単)。その上ブローチングもしにくくなって楽に走れます。この状態ならインボードエンジンを積んでいても回す必要はないでしょう。

スターントリムにする

ブローチングしそうになったら乗員がいる時はなるべくコクピット後方に集めてスターントリムにすると、バウが上ってウェザーヘルムが減り、且つラダーが深く沈んで操船しやすくなる。クルージング艇は航海用の荷物をバウバースに詰め込んでたりする。見直そう。

2-3ヨーイング対策

  ヨーイングをピッチングやローリングと同じ括りでとらえてはいけない。これは、ブローチングのメカニズムー小型船に書いた通り、舵では対抗できないほどの大きなエネルギーを持つ波の水流現象なのだ。

 

  斜め追い波を避け波に直角に

なぜかというと、ヨーイングを起こす波の回転運動の水流は波に直角なので斜め追い波(ヨットは波に対して斜めになっている)だと上記ヨーイング図の通りまともに影響を受けるからだ。船尾が振られるようなら、船尾からロープを流したりタイヤを曳航する方法も推奨されている。

尚、追い波に直角にすると、ヨーイング対策にはなるが、真追っ手(デッドラン)になるだろうからローリングが増える欠点が生じ、ワイルドジャイブが心配になる。強風下では、たとえブームプリベンターがあっても、そのロープを引きちぎられたり、ブロックを飛ばされたりする危険がある。やはりメンを下してジブ一枚にする方が良いのかもしれない。但しその後上りのレグがなければ。

波に合わせて舵を取る

波は後ろから来て追い越して行く。波に追いつかれたら①波の前斜面にスターンを持ち上げられてバウが下がり始める。②波頂が通り過ぎたら波の背面でスターンが下がりバウは上る。

①で、スターンが持ち上げられたらウェザーが強まってバウが波に対して横向きになろうとして、波の回転運動(ヨーイング)の水流をバウに受け易くなる。したがって、その前に先手を打ってスターンが持ち上げられた瞬間リーサイドに舵を取り(あるいは舵を当て)、波に対して直角を維持する。

②の波の背面では波の回転運動(ヨーイング)によってリーサイドに振られるので、波頭が艇を追い越した瞬間にウェザーサイドに舵を取る、あるいは舵を当てる。

サーフィンに注意

波は後から来る。追いついて来た波の前面でややラフしながらスピードをつけ、パンピングして勢いをつけながら波に乗る。うまく波に乗ることが出来たら一気に加速して快適なサーフィンを楽しめるのだが、それもほどほどにだ。大波になってきたら逆に波に乗らないように注意しなければならない。波速に同調して舵効を失えばヨーイングの影響を受けやすくなりブローチングだ。小型船では、波速が船速より早い場合、波に乗らないように、追いつかれた波の前面で舵が効く最低速度まで減速して、波をやり過ごすのが追波航行の基本だとしている。

また、
Practical seamanship illustrated
(舵社)にはこう書いてある。サーフィンしながらラダーコントロール出来るくらいのセール面積を選択しなければなりません。サーフィン中のブローチングが一番怖いです。

早めの進路変更

保針性が悪くなる、舵が利かない、急激な横揺れがある、などを察知したら追い波を受けない方向にコースを変更する。

ところで、池川ヨット工房の海の広場55荒天帆走にも次のような記述があるが、残念ながら理解できない。「風下側に陸地や危険なものがなければ、当然クォーターリーくらいの楽な走りで風下に大きな波をアップダウンしながら下っていく走り方になります。そのときに波の頂上で後ろから波が船を追い抜いていく時がたまにあります。アレッ ラダーが空中に出たのではと思うくらい舵が軽くなります。バラストがあるヨットではそんなことはありませんが、このときが波舵を切る瞬間です。この瞬間の後、波が船より速く走るので船は水に対してバックすることになり、いきなり今までと違う方向に当て舵をしなければ船首を大きく風上側に回されて波に横っ腹をさらすことになり、ブローチングと言う横倒しの状態になります。


上記下線部分が理解できないのだ。

波がヨットを追い越したら、すなわち波頭が通り過ぎたらヨットは波の背面にあるので、バウが持ち上がりスターンが下がった状態になるはずで、この時は、バウは風下に落とされると思うのだがなあ…??

どうも池川ヨット工房の言ってることがわからない。


3.参考資料 
Practical seamanship illustrated、セーリングクルーザー虎の巻、セールトリム虎の巻、クルーザー運用の実務―以上舵社 クルーザーの乗り方 関根照久 舵19922月号~19935月号(国会図書館デジタルコレクションで読める)
池川ヨット工房海の広場55荒天帆走http://ikegawa-yacht.com/20uminohiroba/umi55.htm



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by mantenbosisan | 2018-02-22 20:42 | 操船(主にsinglehand)

シングルハンドのフリー帆走、強風時はこわいぞ!

瞬間最大風速が10m以下の風ならそれほど心配ないが、突風は突然襲ってくる。
なにが怖いかというと、ブローチングとジャイブだ。これを安全にかわす自信がなければ強風が予想される時に船を出してはいけない。

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by mantenbosisan | 2016-11-26 14:45 | 操船(主にsinglehand)

操船手順書ー4-2強風帆走時の留意事項その2

フリーに入ったらリーフは早めに
マスト前のベンチレーターに蓋


荒天時の上りレグは機帆走主体になるが
荒天時の上りレグでは波にたたかれて落とされるので高さを稼ぐ為に機帆走することが多くなるが、その場合インペラーやサーモスタットなどの単純な故障に加え荒天時特有のトラブルもあるので、その時どう対処したらよいかを緊急時マニュアルに整理しておいた方が良い。問題が発生してからその場で考えてもよい知恵は生まれない。「酔っ払い2分の1、海上3分の1、時化の海上10分の1」

荒天時の機走には危険がいっぱい
荒天時の機走では次のような荒天時特有のトラブルに注意!
①エアー噛みと燃料パイプの詰まり
燃料タンクが揺すぶられ続けていると燃料にエアーが混入したり、燃料タンクの下に溜まっていたゴミが巻き上がって燃料パイプを詰まらせたりする。エアー噛みを防ぐには燃料タンクを常時満タンにしておけばよいが、燃料タンクの掃除は簡単じゃない。
②インペラーの空転による破損
海が荒れてる時には何回かに1回は大波が来るが、波でスターンが持ち上げられた時やブローチングした時に運悪く船底の冷却水取り入れ口が海面上に出て海水が取り込めなくなるとインペラが空転して破損する。ブローチングをくらった時に冷却水取り入れ口が海面上に出てしまうとインペラが空転して破損してしまうことになる。
③機走時のロープや流れ網、海草の巻き込みリスクはいつもあるが、荒天時にはそのリスクは更に増える。ロープを巻いたらエンジントラブルよりこわい⇒ペラにロープを巻いてあわや沈没だったらしい 2011-05-07 00:11


フリーのコースに入ったらエンジンを停止しよう
上りと違ってフリーではエンジンの力を借りる必要はないので、無用なトラブルを避けるためにもエンジンを切って帆走した方が良い。

帆走に入ったらバッテリー上がりに注意
エンジンを止めて長時間GPSとオーパイ、更に夜間だと航海灯も使うので、バッテリー上がりに注意が必要。バッテリーを上げてしまったらGPSも使えず現在地の経緯度さえわからない。予備のハンディーGPSはいつでも使えるように充電してスタンバイさせておこう。



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by mantenbosisan | 2011-10-10 01:01 | 操船(主にsinglehand)

操船手順書ー4強風帆走時の留意事項(by Steve Colgate) 

Manual of Cruising Sailboat Techniques by Steve Colgate P61
 

セール面積の均衡の重要性
リーフする際に重要なのはメインとジブのセイル面積の配分だ。
縮帆手順は、最初にメインをリーフし、更に風速が上がったら次はジブを縮帆する。そして更に風が上がったらメインをもう一段リーフし、それでも不十分の時はジブをもう一段縮帆する。このようにメインとジブを均等に縮帆して行きボートのバランスを保つことが重要だ。

何故メインからリーフするのか
風速がアップしオーバーパワーになれば艇はオーバーヒールし、オーバーヒールすればひどいウエザーヘルムが発生し、ウエザーヘルムが強くなるとティラーをしょっちゅう引いているようになるのでラダーの迎角が大きくなり水中抵抗が増えて艇速がダウンする。
ウェザーヘルムを減らす為にジブの大きさをそのままにしてメインセールを小さくするのだ。そうすればC.E.が前方に移動するのでウェザーヘルムが減少する。

強風下メインを下ろして風上帆走するとデスマストにつながる
リーチングからランニングで走っているときはメインを完全に下ろして小さなジブ一枚で帆走しても良いが、風上に向かって帆走中にメインを完全に下ろすとデスマストにつながるので大変危険だ。

ドシンドシン波にたたかれる度にマストは前に振られ後ろに振られしてかなりの衝撃を受けるが、メインセイルは例えリーフしていてもそのマストへの衝撃をかなりな程度和らげてくれるので風上に向かって帆走中にメインセールを下ろしてしまってはいけない。

リーフ時のハリヤードテンションの重要性
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フルセールの時はセールのヘッドはマストトップ近くにあるのでハリヤードの引っ張り角度はリーチの引っ張り角度とほぼ正反対になっている(上図左)が、リーフしている時のリーチを引っ張る力は上図右の通りupper slidesをグルーブから引っ張りはがす方向に働くのでハリヤードのテンションをできるだけ強くしてこのslidesにかかる力を和らげてやる必要がある。
特にメインシートのほとんどの力がセイルのリーチに働くbeating時には、ハリヤードテンションを強くしておかなければこのupper slidesを引きちぎってしまうことになりかねない。
(久しぶりにOffshore Sailing Schoolのテキストを引っ張り出したが非常に勉強になった。)
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by mantenbosisan | 2011-10-10 01:00 | 操船(主にsinglehand)

操船手順書-3-4ヒーブツー

1)スピンナヤーン
①今までのタックのままでヒーブツーする方法
これはディンギーで強風、波のある海面でタッキングを失敗して風位に立ってしまったような時に風上側のジブを張って逆ジブにして元のタックに戻すことがあるがジブの操作はあれと同じ要領だ。その時には元のタックの風下に落とすときにメインを緩めるがヒーブツーの時はメインは目いっぱい引き込んだままにする。
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b0114415_19345243.jpg②タッキングしてヒーブツーする方法
これは風位を越えてもジブをはりかえずに元のジブを逆ジブにするやり方なので荒天時には危険な気がする。ディンギーだったら簡単にチンするだろう。

だが、荒天でさえなければこの方法は簡単なので沖合いで船を止めてランチの支度をするような時には使える。
そんな上天気の時はジェノアを使っているかもしれないがヒーブツーにはジェノアは大きすぎてうまく行かない。フルメインに対して少なくともワーキングジブサイズに落とす必要がある。
注:風速15~6m/s、波高4~5mの時、島津提督はストームジブの大きさにしてヒーブツーに入ったと言っている(メインはツーポン)。







③メインだけを使うヒーブツー
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2)インナーセーリング
フリーで帆走している時はまずクローズまで持って行くのは同じだが、スピンナヤーン②のやり方とと多少違う。反対舷に返った後行き足を完全に止めるのがポイントだ(行き足が残ってると再びタッキングしてヒーブツーを失敗する)と書いてある。メインシートを緩めるのはその為だと思われる。
・タッキングよりもゆっくりバウを回す、
・反対舷になった時メインシートをアビームの位置まで緩めてクリートし、行き足がなくなるのを待つ。
・行き足が無くなったらティラーをいっぱいに押して固定。
・前進と後進を繰り返しほぼアビームで停止する。

3)島津さんのヒーブツー
風速15~6m/s、波高4~5mの大島近海で一晩ヒーブツーしたらしい。
2006年5月12日(金)付けYacht the deep Subject:夜間伊豆大島沖でのヒ-ブツ-より引用。
ティラ-を操りながら先ずメインシ-トを一杯に詰めブ-ムを中央に、そしてプリベンタ-でがっちりと固定。
メインは当初より変えず2ndリ-フのまま。
次にジブを最小限、スト-ムジブの大きさまで巻き上げ、風上(右舷側)シ-トをウインチで引き逆帆の状態にした。
舵は下手舵一杯。

すると、あ~ら不思議、フネはたちどころに速力がなくなると同時に殆どの動きを止めてしまいました。
フネ周囲の海面は小さくても3m、大きいものだと5mを超す波頭の崩れを伴う大浪・南西14-15mの強風にも拘わらず、風を右舷船首より4~5点ばかりの所に受け、フネの動揺はピタリと止み、船首をほぼ南に向けマストは左に約10 度くらいの小さな傾きのまま安定したのです。横揺れはもちろん縦揺れもほとんどありません。何よりも不思議なのは波頭から谷底に落される上下動までがなくなった事です。つまり、フネがいる一定の広さの海面だけが波が立っていない状態。
常識で考えられますか?これが踟躊(ちちゅう)、ヒ-ビングツ-。(^_^)
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by mantenbosisan | 2011-10-10 00:45 | 操船(主にsinglehand)

操船手順書-3-3ウェザーヘルムについて

ジブのとメンのの合成された効果中心(Combined CE)の位置はジブのCEとメンのCEを結んだ直線上のそれぞれのセール面積(又は応力)を逆比例按分して得られた点上にある。一方、CLR(側面抵抗中心)はキールの中央付近にある。

Combined CEがCLRと同じ位置にあればヘルムはニュートラルで、CLRから後方に移動すればウェザーヘルム(以下ウエザー)、前方に移動すればリーヘルム(以下リー)になる。多少ウェザーがある位が操作性が良い。その時のCEの位置はCLRのやや後ろだが、風が強くなるとメンのセール効果(応力)が大きくなってCombined CEが後方に移動するのでウェザーが強くなり、走り難くなる。風が強くなるとヒール角度も大きくなるが、そうするとCombined CEは風下側に、CLRは風上側に移動して両者間の距離が離れるのでこのことによってもウェザーが強くなる。

Combined CEの位置はジブのCEとメンのCEを結んだ線上の各セール面積(応力)を逆比例按分して得られた点にあるわけだから、ジブの大きさは変えずメンをリーフして面積を小さくしてやればCombined CEは前方に移動する(※)とともに、セール効果(応力)が小さくなってその位置は下に下がるのでヒール角度が小さくなりウェザーも小さくなる。メインシートを緩めて風を逃がした場合も応力が小さくなるので、CombinedCEは前方に移動してウェザーは小さくなる。
※逆にメンの大きさはそのままでジブを小さくするとCombined CEは後方に移動してウエザーヘルムは増すので注意。

クオーターリーではCombined CEが風下側に大きく移動してCLRから離れる為ウェザーが非常に強く出て、強風や波のある海面ではヨットが風上に切り上るのを舵で防ぎきれなくなることがあり、そうなってしまうと舵が効かなくなってブローチングする。

風が強いランニングの時にメンもジブも引き過ぎ(オーバートリム)でセールがクオーターリーの開きになってると、ブローチングが起こりやすいのでオーバートリムには十分気を付けなければならない。しかし、観音開きにすればジブはメンの反対舷になり、それまで風下舷にあったCEが船首尾線近くに戻ってくるので強いウェザーは減る。

マストをレーキさせるとCEが後に移動するのでウェザーは増える。セールのドラフト位置を後にしてもやはりCEは後に移動するのでウェザーは大きくなる。

乗員や積載物をバウに集めてバウトリムにすると(波の大きい海面で波に船尾を持ち上げられて船首が下がった状態の時も同じだ)、C.L.Rが前に移動するのでウェザーになり、逆にスターントリムにするとリーヘルムになる。

参考 ウェザーヘルムとリーヘルム 防衛大ヨット部マニュアル file:///C:/Users/hiromichi/Downloads/002-1%20(12).pdf 



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by mantenbosisan | 2011-10-10 00:37 | 操船(主にsinglehand)

操船手順書-3-2リーフ手順(バックステートッピング艇)

2018.04.11記 :以下はバックステーからブームトッピングを取っている艇のやり方なので、マストトップトッピング艇の場合に不要な操作も含まれている。尚、カケスは現在マストトップトッピングに変えている。

はじめに

・メインセールのリーフ作業はジブセール一枚で帆走しながら行う。ジブを巻き込んでしまって機走で風位に向かいながら行うよりも艇は安定する。
・バックステーから取っているトッピングなのでリーフ作業中に針路変更をしなければならなくなったら大変だ。前方、左右に障害物、他船のいない十分に広い海面で行う。艇速4ktで帆走中に進む距離は1分間で123m、5分で617m。艇速5ktなら1分間で154m、5分間で772m。リーフ作業中に進む距離を頭に入れておくこと。
・ランニングでは風を抜けないのでリーフ作業は出来ない。艇を上して行う。
・メンハリの絡みを取り除いてスムーズに出て行くようにしておく。
・出港時緩めたレイジージャックを張り直してあるかチェック。


リーフ手順(ワンポン、ツーポン共通
1)クローズからクローズリーチくらいの上り角度を維持する。
・程よいヒール角度で安定して走れるようにジブセールをトリムする。必要ならジブセールから若干風を抜く。但しシバーさせてはいけない。
2)バングとメインシートを緩める。
3)トッピングリフトを掛ける。
・ブームが外に出ていてトッピングリフトが届かない場合は艇が落ちすぎているはずなのでちょっと上してやればブームがセンター方向に戻ってくる。
・マストトップから降りてるタイプの通常のトッピングリフトの場合はただ緩みを取れば良い。
4)ハリヤードを緩めてマークしてある所定の位置までセールを下ろす。
・ハリヤードをシートストッパーから解除し、弛ませないように手に持ちもう一方の手でセールダウンロープを引いてワンポン又はツーポンのマークの位置まで出してセールを下ろす。(一気にセールを下ろすと余ったハリヤードが風に飛ばされてスプレッダーなどに絡みつくのでセールダウンロープを引きながら下ろす。)
・セールが下りたらブームエンドでリーフラインが遊ぶので、風に飛ばされて絡まないようにワンポン、ツーポンのリーフラインを軽く引き込んでおく。
5)マストまで移動してラフのリーフクリングルをホーン(フック)に引っ掛けて、ショックコードで抑える。
6)コックピットに戻り、ウインチでハリヤードをしっかり引いてメンを引き揚げる(ラフに沿って縦皺が走るまで)。
7)リーフラインをウインチ使用してタイトに締める。
・リーチのリーフクリングルがブームに接触するくらいまでしっかり締める。
・ブームを上に持ち上げるとリーフラインを引きやすい。
・タイトに締めきれない場合はメインシートかバングを緩め忘れている可能性があるのでチェック。またメインが風をはらんでいてもリーフラインをしっかり引ききれない。その場合はもう少しラフしてみる。
--------6)と7)の順序はどちらが先でもよいので自分のやりやすい順序でやる。--------
8)トッピングリフト解除(忘れやすいので注意)
9)緩めていたメインシートとバングを引き直して再帆走に入る。
10)リーフクリングルを補強する。
・これは無理にやらなければならないわけではないが、余裕があればリーフラインを取っているリーチのリーフクリングルに雑索を通し、ブームに回して縛っておく。ただし、リーフを解除する時に補強したことを忘れていることがあるので注意。
11)ブーム上で余ったセールを軽くラッシングする。
・レイジージャックが余ったフット部のセールを抑えてくれるので無理にやることもないが、はためいて邪魔になるようだったらラフとリーチの中間のクリングルを使って軽くラッシングしても良い。ただし、セールカーブを崩したり、セールを破くこともあるのでロープよりもショックコードの方が良いかもしれない。リーフクリングルの補強同様こちらもやったことを忘れていることがあるので注意。
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by mantenbosisan | 2011-10-10 00:35 | 操船(主にsinglehand)

操船手順書ー3-1リーフ手順(メンが先かジブが先か)

2018.04.11確認

ファーリングジブはNo.3をセットしているので、風が強くなったら次のようにメインをリーフしていくだけだ。
①風が8mを越えて、ウエザーが強くなってきたら 1P
②風が10mを越えて更にウェザーが強くなってきたら2P。この時点で避航を検討。
③ダウンウインドの場合は少し早めにリーフして行く。

しかしジェノアをセットしている場合はジブから先に縮帆するのかメンが先かという問題がある。これについては専門家の間にも相反する二つの意見があるが、以下の理由でメンを先に縮帆すべきだと考えている。

①風が強くなるとメンのセール効果(応力)が大きくなるのでCombined CEは後方に移動する。また、ヒール角度が大きくなってもCombined CEは後ろに移動してくる。
②Combined CEが後方にずれてくるとウェザーが大きくなるので、ウェザーを消す為にCombined CEを前方に戻す必要がある。
③Combined CEの位置はジブのCEとメンのCEを結んだ線上の各セール面積(応力)を逆比例按分して得られる点にあるのだから、その位置を前方に持って行くにはメンを小さくすれば良いということがわかる。メンをリーフして小さくしてやればセール効果(応力)が小さくなってCombined CEが前方に移動するとともに、その位置は下に下がるのでオーバーヒールを抑える効果もある。
④リーフする際に重要なのはメインとジブのセイル面積の配分なので、最初にメンをリーフし、その次はジブというように交互に縮帆して行けば、Combined CEの前後位置をちょうど良い位置に維持することが出来、同時にその位置も下に下がってくるのでオーバーヒールを抑えることが出来る。

参考(相反する二つの考え方)
1)舵2001年3月号P47 荒天帆走リーフとセールチェンジ 記述高槻和宏氏
風が強くなってきたらウェザーが強くなって来る。
まず、メインシートトラベラーを風下に移動させたりメインシートを緩めたりして対応するが、それでも舵が重くなったらリーフだ。メインセールをリーフしその面積を減らす。メインセールは後ろにあるのでその面積を減らすことによって風圧の中心が前方にずれ、ウェザーを軽減させる効果がある。

2)インナーセーリングP80
風が強くなってきたら、まず、より小さな面積のジブに交換する。メインをリーフするのが先だと考えるベテランもいるが、次の理由で間違いだ。
更に風が強まることも考え、リーフよりも危険なジブ交換を先にしておく。(注:ファーリングジブの場合はこれは関係ないが)
メインよりもジブの面積を小さくした方が、ウエザーヘルムにならない。そしてセーリングスピードも上がる。
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by mantenbosisan | 2011-10-10 00:30 | 操船(主にsinglehand)

操船手順書ー2ー3 ファーリングジブの展開と巻き取り時の注意点

最初は知らないためにしょっちゅうトラブってた。トラブルを起こしながら覚えてきたのだが、しかし分かっているなら同じ轍を踏む必要もない。「ジブファーラーの仕組みとトラブル対策」 の中に書いたことを、抜き出してまとめ直した。

A)ジブ展開時に注意すべきこと
風の強い時に起こりやすいトラブルだが、セールを展開する時に不用意にファーリングラインのシートストッパーを解放してジブシートを引っ張ると、風圧で一気にセールが展開し、ファーリングラインがキンクした状態でドラムに巻き込まれやすい。こうなるとセールを巻き取れなくなりにっちもさっちも行かなくなる。
これを防ぐには、一気にセールが出て行かないようにファーリングラインをウインチに一巻きか二巻きして片方の手で持ち、もう一方の手でジブシートを引いて行く。

B)ジブ展開中に注意すべきこと
ジブを激しくシバーさせないこと。風上側のジブシートをクリートせずにたるませたままの時に、ジブが激しくシバーするとジブシート同士が絡みついてしまうトラブルが起きる。強風時のタッキング時、リーフ時、ファーリング時など要注意。
強風時のタッキング完了後風下側のシートをウインチにかけて巻き込もうとしてうっかり手を滑らせた時などジブが大暴れしてジブシート同士が絡みついてしまう。急いで風下側のシートをタイトに引いてシバーを止めないとシート同士が硬く団子状に絡みついて解くのが大変になる。操作時以外は風上側のジブシートは余分なたるみを取ってクリートしておいた方が良い。

C)ファーリング時に注意すべきこと

1)バックステーを引いてからファーリングする
バックステーが緩んでいるとフォアステイがサギングを起こしており、フォアステイにかぶさってるフォイルもたわんでいる。そんな状態でジブを巻き込んでもきれいに巻きこめないし、何よりフォイルの中のフォアステイを傷めてしまう。バックステイを引いてジブハリがピンと張った状態でファーリングすること。巻き終わったらバックステーを緩めるのを忘れないこと。

2)ジブハリのテンションを抜いてからファーリングする
帆走し終わったらジブのラフにテンションをかける必要はないのだから帆走後ジブを収納する時にはジブハリを緩めるくせを付けておく。帆走後もジブハリを引きっぱなしにしておけばラフは伸びきってしまう。

3)アビームくらいに落としてファーリングする
風が強い時にクローズホールドでジブを巻きこもうとするとジブが暴れて大変だ。ジブシート同士が絡み合って団子状になることもある。強風時はアビームまたはそれ以上に上り角度を落としてやると良い。上り角度を落としてセールが暴れない程度に風を抜きながらファーリングラインを引き込んで行く。

4)ウインチハンドルを使わずに手で引き込む
手で引き込むことによって何かに引っかかってたりするトラブルを発見できる。ウインチハンドルを使って巻き込むとトラブルに気付かずセールを破いてしまったり、ファーラーに深刻なダメージを与えてしまう恐れがある。
だから、風を抜いているにもかかわらず手で引き込めないくらいのロードがかかっている時はまず原因を調べる。ファーリングラインがドラムの中で絡んでいたりするとやっかいだが、たいていはジブシートがウインチか何かに引っかかってるような単純なトラブルだ。それらの障害を取り除いてから再度引き込んでいく。

5)ジブシートにテンションをかけながらファーリングする
風が弱い時や湾内までセーリングで入ってきてファーリングする時は巻き込みが緩くなりがちだ。ジブシートを軽く引っ張りながら(ジブが風をはらんでいるのと同じ状態にして)ファーリングしていけばタイトに巻き込める。



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by mantenbosisan | 2011-10-10 00:28 | 操船(主にsinglehand)

操船手順書-2-2セールを揚げる(改定)マストトップトッピング艇

本稿はマストトップからトッピングリフトを取ってるヨットの手順

【メインセール】 

セールアップ手順

①離岸前に「乗船手順書-2-1出港準備a全般(改定)」と「乗船手順書-2-1出港準備bメインセールを揚げる準備(改定)」をちゃんと済ませて出て来たか再確認する。レイジージャックを緩めて低く張り直してあるか、セールダウンロープ(メインセールを引き下ろすライン)がスルスルと出て行くようになってるか、強風時ならワンポンかツーポンで揚げれるように準備を済ませてあるか等。

②メインシートとブームバングを緩める。これが緩んでないとメインセールがしっかり揚がらない。

③メンハリが風に飛ばされてマストやスプレッダーなどに絡まってないかチェックしてウインチに2回巻きつけておく。

④セールアップに必要な十分な広さの海面で艇を風位に向けて舵効き速度で微速前進。マストトップからだけでなくバックステーからもトッピングリフトを取ってる場合はバックステーのトッピングは必ず外しておく。
注:舵効き速度で走っていても正面からの風が強まると艇速が落ちて舵が効かなくなる。この時オートパイロット(略称オーパイ)に舵を任せて安心していると船はとんでもない方向に向って危険なのでオーパイを使う場合はその点を認識したうえで使用する。

⑤延長ティラーを両足の間に挟んで(オーパイを使ってない時)、ブームがだいたいセンターに来るようにコースを維持しながら、ウインチに2巻きしたメンハリを(ウインチハンドルは使わず)手で引いて一気にセールを揚げる。
手で引いて上がりきらない時はバテンがレイジージャックに引っかかったか、メインダウン用ロープがどこかに引っかかったかしている可能性が強いので、必ず揚がって行くセールを見ながら作業すること。引っかかってるのに気づかずに無理矢理揚げるとセールを破ってしまう。だから最初からウインチを使ってはいけない。最後の決めの時だけウインチを使う。重たくなって途中で止まってしまった時は全体をパッとチェックして素早くトラブルの原因を見つける。

⑥セールが揚がったらウインチにもう一巻きしてウインチハンドルを差し込んでメンハリに最後のテンションを掛けて風が弱い時はラフの横じわが消える程度、風が強い時は横じわが消えた後ラフに沿って縦皺が入る位までウインチを巻いてシートストッパーをロックする。
トラブルがなければここまでだいたい10秒以内だ。

⑦素早くブームからトッピングを外してバックステーに戻す。トッピングを外すまでは運転不自由船状態で方向転換もできなかったが、ここまで終了すれば自由にコースを引けるので一安心だ。

⑧緩めていたメインシートとバングを引き直す。

⑨リーフした場合はブーム上で余ったセールを軽くラッシング。
レイジージャックが抑えてくれるので、余ったフット部のセールがはためいて邪魔になることはないが、ラフとリーチの中間にあるクリングルを使って軽く緩めにラッシングしても良い。ただし、セールカーブを崩したり、セールを破くこともあるのでロープよりもショックコードの方が良いかもしれない。リーフクリングルの補強同様これをやった場合はリーフ解除の際に必ず外さなければならないが、やったことを忘れていることがあるので注意。

⑩レイジージャックを元のように張り直す。

⑪ダウンホール(カニンガム)、アウトホールを調整する。

【ファーリングジブ】
操船手順書-2-1セールを揚げる(改定)の通り。

【バックステー】
操船手順書-2-1セールを揚げる(改定)の通り。



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by mantenbosisan | 2011-10-10 00:26 | 操船(主にsinglehand)