知人のルボンに乗せてもらった時、どんなアンカーを積んでるのか見せてもらった。フォールディングアンカーと、もうひとつロッカーの下の方から見なれないアンカーが出てきた。知人も知らないと言うので、調べたらPLASTIMOフランス製ブリタニーアンカーだった。アンカー製作所の中村技研工業が「このようなプレート爪のアンカーではストックに替わる機能を持たせないと、すぐに反転して走錨してしまうので、人命を預けるような避泊アンカーとしては決して使用すべきではない。」と手厳しく評価しているアンカーだ。
フォールディングアンカーはPLASTIMO2019総合カタログにも出ているが、少なくともヨット用じゃない。天気の良い日の釣り用にでも置いてあるのだろうか?
では、このヨットに乗っていていざという時に何を使うんだ?怖いなー!
ヨットが載せるべきアンカー
ヨットがアンカーを考える時にまず第一に考えるべきは艇体と命を預ける緊急時用アンカーだ。これについては以前書いた通り駿河湾なら中村技研工業のバルカンデルタストックアンカー6㎏がなんといっても第一候補なのだが、長い間完売状態が続いているので今のところ購入は無理だ。2番手候補は錨屋のAMA FS(フィッシャーマンズ)コンパクトアンカー10kg(35,200円 送料別)かな。10㎏ならなんとか…というところだろう。
中村技研工業http://www1.ttcn.ne.jp/~vulcan-anchor/Stock.html
錨屋https://item.rakuten.co.jp/anchor/c/0000000734/
アンカーライン
ウェストマリーンによると、27ftまでのヨットに適合するラインはドッキングラインならナイロンの10㎜径破断強度2100㎏で良いが、アンカーラインはワンサイズ上のナイロン12㎜径だ。ナイロン12㎜径の引張強さは27.5KN(2.8tf)。参考 児嶋(¥294/m) 、海遊社(¥190/m)
サワセン(広島県)ではナイロンは扱っておらず、扱ってるのは東京製綱製ポリエステルロープ(サムラーロープ)だけで、100m単位で¥16,000円で販売している。12 m/m(引張強さ 27.4 kN) 100 m 重量8.90kg 。引張強さはナイロンとほとんど変わらない。
KAKESU-3は緊急用にバルカンデルタストックアンカーとサムラ―ロープ100mを載せており、田子岩沖の岩場でアンカリングして根掛かりした時にエンジンで引張ってさんざん苦労して引き抜いたが、強度は十分という気がした。この時アンカーが少し曲がったがロープは異常無しだった。そういえばバルカンデルタストックアンカーを買った時に、新しいロープを使わないと大事なアンカーを失うよ!と言われたっけ。

上記ブリタニーアンカーとフォールディングアンカーを載せていた知人にアンカーの問題点と結び方の注意点を伝えたが、荒れてる時には船を出さないからとまったく関心を示さなかった。命に係わることなのにな~残念!
右図はアナポリス式シーマンシップよりコピー。
以下はアナポリス式シーマンシップに書いてあったこと。
チェーンとロードを結ぶシャックルはステンレスではなく必ず青銅か又は亜鉛メッキ鋼の大型シャックルを使う。ステンレスの方が最初は強いが曲がったり凹んだりするとかなり弱くなってしまう。そしてそうなって外すのに切断しなければならなくなった時にステンレスよりも軟質金属の方が扱いやすい。シャックルのピンはしっかりと締め込んでから動かないように亜鉛メッキの耐食性ワイヤー(普通のハリガネが亜鉛メッキ)か強力な合成のコード(marlineは腐るのでダメ)を使って縛る。
操船不能になった時、本当の意味での命綱は、しっかりしたアンカーとアンカーラインだ。頼りになるしっかりしたアンカーとラインをそろえたところで、遭難して発生する賠償金額を思えば大した金額じゃない。
海保は乗員は救助してくれても船は曳航してくれないと思っていた方がよい。⇒石廊崎沖海難事故聞き書き
アンカーラインが切れて岩場に流されて座礁、転覆。西伊豆沿岸は岩場ばかりだ。
捜索、高額なクレーン台船を使っての船の引き揚げと輸送、解体処分、漁協への補償、海保からの連日の事情聴取,業務上往来妨害罪で書類送検、おまけに数十万円の罰金が待っている。
どんなヨットモーターボート保険に加入しているかにもよるだろうが、かなりの自己負担金が発生するのは間違いない。
今年(2019年)9月の台風15号は千葉県を中心に大きな被害をもたらしたが、ヨットでも千葉県館山市では7隻が沈没し、静岡県伊東サンライズマリーナでは70隻のヨット、ボートに損害が出たとのことなので、改めて台風時の備えについてまとめてみた。これは自艇を守るためだけでなく、隣艇を損傷して迷惑をかけない為でもある。
平常時の下船時実施項目に加えて行う台風時の追加実施項目
| 実施項目 | 備考 |
| 増し舫い | 新しい丈夫なロープで補強。ナイロンロープが安心。 |
| フェンダー | 数を増やすと共に、デッキへの跳ね上げ防止対策を施しておく |
| ファーリングジブ | 外してロッカーに収納 |
| メインセール | しっかりカバーをかけた上からロープを巻きつける。直撃コースならブームから外して収納する。 |
| ブーム | ドッグハウスに下して固定 |
| ドジャー | ドジャーを折り畳んでキャビンに入れるか、ドジャーからカバーだけ外してロッカーに収納し、骨組みは折り畳んでドッグハウス上に固定。 |
| ティラー | フルスケグの為、平常時はラダーにある程度遊びを持たせるためにショックコードで縛って下船しているが、台風時はショックコードをロープに替えて固定。 |
| 救命浮環 | 平常時はスターンパルピットに付けたまま下船だが、台風時はロッカーに収納。 |
| オーニング | 平常時はオーニングをかけて下船しているが、台風時には外す。 |
| コクピット排水口 | 台風時に限ったことではないが、ゴミの詰まりを取り除いておく。 |
| アンカー | バウやスターンのアンカーを外して収納しておく。アンカーローラーがバウに付いてる艇は、隣艇にぶつかった時に損傷を与えないようにフェンダーでカバーしておく。 |
| ボートフックその他吹き飛ばされたり、波に流されそうなデッキ上の物 | ロッカー、キャビンに避難させておく。 |
平常時の乗下船時チェックリストはこちら→https://mantenbosi.exblog.jp/16173076/
台風だからと言ってファーリングジブを下さず、やってもせいぜいスピンハリヤードを巻きつけているだけの艇が多いが、本当に強い台風の時には隙間が少しずつ開いて行きやがて破れる。ジブが展開し風にあおられ、マストにかかる圧力が激増し、そのうちに耐え切れなくなってマストが折れてしまう。ジブが破れ、マストが折れて、折れたマストが当たった物が損傷する。
ドジャーを畳まない艇もなぜか多いが、これも理解できない。台風時に大きなセールバッグをドッグハウス上に広げているようなものだから。
安良里港と言えども台風時の港内の荒れ方は半端ではない。
今までに、安良里港で発生した主な台風被害は、ファーリングジブの破損、マスト折損(たいがいファーリングジブに起因)、メインセール及びセールカバー損傷、舫いの切断とそれに起因した艇同士の衝突、コックピット排水口の詰まりによる半沈だ。
自艇の周りを大型の俵型フェンダーで取り囲んでいる艇を見かけるが、これは流木対策なのかもしれない。安良里港内で漂っている大きな流木をときどき見かけるが、あんなのが暴風時に波に乗ってぶち当たってきたらハルに穴があいて沈没なんてことが無いとも限らない。
安良里漁協で扱っている保険の場合、地震、津波は不可抗力なので保険でカバーしないと明記されてるが、台風については明記されてないので聞いたら、ケースバイケースで対応しているとのことだった。具体的には、係留艇がほぼ全滅という場合は不可抗力として保険適用が難しいが、被害艇が少ない場合は保険適用される可能性が高いとのことだ。事実、一列前のヨットのマストが折れて隣のヨットの窓を突き破った時は賠償責任保険が適用になったのだが、ケースバイケースで判断されるとすると、折れたマストが窓ではなくハルに突き刺さって穴をあけて沈めてしまったのに、不可抗力だとして保険が適用されないこともあるというわけだ。そして保険会社がそういうのだからどうしようもないでしょうと言って、マストが折れた艇のオーナーが責任取れないなどと言って来たらどうしたらいいだろうか?
安良里は沖泊め係留で、係留ブイは大きな干満差に十分対応できるように長さを調整して海底からワイヤーを取ってあるにもかかわらず、満潮時に海中に引張りこまれないようにするためだと言って、係留ブイから取る自艇の舫いを長ーく弛ませている艇がいるが、こんな艇がお隣さんだったら怖い。海が荒れたら振り回されてぶち当たって来る。バウにアンカーを突きだしていたり、スターンの船外機を跳ね上げて係留しているヨット、ボートも怖いぞ。大きな鉄の塊をぶら下げてるのだから。
台風対策は自分の艇だけ見れば良いわけじゃない。危ないと思われるヨット、ボートが隣にいる場合は、自艇を守るために、管理者と交渉してすぐにでも自分のバースを移動すべきだ。
燃料タンクからエンジンまでの間の燃料パイプが詰まった、水を吸い込んだ、とかの理由で航行中突然エンジンが止まったといった話をちょくちょく聞く。
燃料には水が含まれているし結露水もバカに出来ない量が出るので古いヨットの燃料タンクには必ず水が溜まってるし、長い間にはスラッジも溜まっているので、さもありなんといえるようなトラブルではあるのだが、ヨットメーカーもそういう事をあらかじめ予見して、燃料タンクの天井から入ってる燃料吸い上げ用パイプの先端はタンクの底から十分に離してゴミや水を吸い上げないように工夫しているので、ありそうでいてそうちょくちょく起こるトラブルでもないのだが荒天時に波にもまれながら走ってる時は大いに気懸りではある。ヨットがひっくり返るような揺れの時は燃料タンク内の水もスラッジも燃料と一緒にひっかき回されてるはずだから。
タンクに点検口があったり水抜きの口が付いていたら簡単に掃除もできるのだが、何もついてない場合は(ほとんどのヨットがそう)、上から吸い上げて抜くしかない。タンクの天井から入ってる燃料残量計を取り外せば、その穴を利用してホースを挿しこんで吸い出すことが出来る。
一番簡単な方法は、灯油用のシュコシュコ手動ポンプを使う方法だ。同じようなもので車の緊急時に燃料を移し替える手動式ポンプはホースが十分長い。船外機の給油に使う手動式のプライミングポンプは手動式とは言いながらものすごい馬力があるが、ポンプとホースのセットで買うのは絶対やめた方が良い。ひどく高いのでシュコシュコ手で握るポンプ部分だけ買ってホースはホームセンターで径の合うものを探せば良い。また、エンジンオイル交換用の手動式ポンプも、ホースを取り換えれば代用可能だ。
電動式ならエンジンオイル用の電動ポンプを持ってるならそれが一番良いかもしれないが、持ってないなら値段も高いのでわざわざ買うまでもない。電池式の灯油給油ポンプでも良いし、ドリルポンプ(バッテリードリルに取付けて電動で動かすポンプ)だって安く買える。新潟精機のドリルポンプは馬力もあるし信頼できそう。


全体案内頁 https://www.msil.go.jp/msil/htm/topwindow.html
様々な項目を選択できるようだ。
入り口をクリック⇒https://www.msil.go.jp/msil/htm/main.html?Lang=0
頁左の一覧で海事をクリックすると港湾、漁港、灯、航路などが出る。
海事の中で漁港を選択すると漁港と漁港区域を選べるようになってるので、漁港を選択すると国土地理院地図上に全国の漁港が表示される。自分の知りたい漁港を選んで錨のマークを左クリックするとデータが出るが、残念ながら電話番号はない。
拡大するとかなり詳細なマップが出る。例えば外防波堤先端の灯台をポインターで当てて右クリックすると経緯度が表示される。
海事の中で灯を選択し、灯台、灯浮標などを選択するとマップ上に表示できる。
海事の中で航路を選択すると海交法航路、港則法航路などが日本地図上に表示される。
等深線なども表示できる。
定置網情報なども選択できるようになってるが、やり方がまずかったのか表示できなかった。
下記は2級舶用機関整備士指導書(https://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2002/00198/mokuji.htm)1.6船尾管および船尾管軸受1)船尾管の記述、および1.7 船尾管軸封装置1)海水潤滑軸受の記述から自分用に抜き書きしてまとめたもの。このままヨットの小型機関に当てはまるわけではないが、参考になる記述は多い。尚、挿絵などは分かりやすいように注釈を付け一部加工した。正確を期すためには原文を参照されたい。
第3章1.6 船尾管および船尾管軸受 1)船尾管からの抜き書き
船尾管とは、プロペラ軸あるいは多軸船の場合船尾管軸(船尾軸)が船体を貫通する箇所に装備する筒状の構造物をいい、軸を支持するものである。海水潤滑式船尾管の場合、青銅製ブッシュに内張りした支面材(リグナムバイタ)あるいは青銅製ブッシュまたは、FRPに内張りしたゴム軸受、樹脂軸受などを船尾管本体に圧入し、軸受とし、海水によって冷却、潤滑をする。船尾管には一般に船尾側船尾管軸受と船首側船尾管軸受を設ける。プロペラを支持する船尾側船尾管軸受の長さは、船舶機関規則などで定められている。船首側船尾管軸受は、一般に軸受としての役目よりも、プロペラ軸を船尾管に挿入する時のガイドの目的で装備する場合もある。また、軸系アライメント上※設けない場合もある。※いわゆる軸芯出し(シャフトアライメント)調整作業のこと。
下図は第3章1.4プロペラ軸記載図を一部加工

第3章1.7船尾管軸封装置 1)海水潤滑軸受 (1)グランドパッキン方式からの抜き書き
船尾管軸封装置は軸系の船体貫通部からの船外の水が船内に流入するのを防ぐための装置で、グランドパッキン方式は3・27図に示すような簡単な構造で従来から使用されている。
グランドパッキン方式は、パッキン箱※を設け、その内部には通常2つ割れのパッキン押えで締付けている封水用のパッキンを配している構造である。※パッキン箱は英語名では詰め込む箱という意味のスタッフィングボックス。
パッキン部は強い船尾振動を受けるので、パッキンは相当苛酷な使用条件に耐えなければならない。またパッキンの軸との共回りは海水漏洩に対して致命的であるので、パッキンの寸法は慎重に決める必要がある。このためにパッキンをやや長目(パッキン厚さの1/2程度)に切って、正しく切口を合わせ、1本ずつ確実に奥まで押し込み、パッキンの密度の均一化をはかる。そしてパッキンの外周側の摩擦を大きくすることおよびパッキン箱の奥の端面部の摩擦を増すための考慮も必要である。
パッキン全数を詰め込んだ後、パッキングランドを取り付けて強く押し、締め付けボルトにナットをかけて、手でいっぱいに締める。この点を基準点とすれば、ここから〔(そのパッキンの呼び寸法)×(本数)〕の5%程度※締め込んだ状態で運転を始め、適当な海水の漏洩量になるようにパッキングランドを増締める。パッキングランドの温度は海水温度プラス30℃までが適当と考えられるので、パッキンの締め過ぎには注意を要する。またパッキンの締め過ぎによるプロペラ軸スリーブの異常摩耗は避けがたい。※わかりにくい表現だが、一本のパッキンの厚み×入れたパッキンの本数×5%。

グランドパッキンに関して特に注意しなければならないのは、海水漏洩量の増大、プロペラ軸スリーブの摩耗、パッキンと軸との共回りなどである。
グランドパッキンを締めた場合のパッキンと軸との接触面圧は3・27図のようにグランド側から奥に行くに従って順次面圧が低くなり、シール作用で重要な奥の方のパッキンの面圧が不足する傾向にある。これにより漏洩量の増大やパッキン共廻りが生じやすい。このためグランドパッキンの締付けが過大になりがちでグランド近くの面圧が高くなり軸摩耗を生じやすい。従ってパッキン取付時には手前から奥まで面圧がなるべく一様になるように努める必要がある。
次にパッキン取付時より運転時までの要点を順を追って述べる。
(1)パッキンの切断は軸外周に巻付けて、パッキン厚さの1/2程度長目に切る(3・28図参照)。そしてばらばらにならないように糸でしばる。
(2)パッキンはパッキン箱の寸法に合ったものを使用すべきであるが、太さの調整が必要な場合、ハンマ等で叩かず、バイペでロールする。
(3)パッキン挿入時には、切口を120度ずつずらして合せ面を突き合せて外周に張らすようにして一番奥から1本ずつ木片を当てて、軸になじませながら圧縮していく。
(4)進水時にはグランドを取付け、ナットを掛けて指で一杯に締めた後、片締めにならないようにスパナでパッキン箱深さの5%を目安に追締めする。
(5)進水後漏れの状態を見て徐々に増締めする。
(6)航行中は少しずつ締付け、一度増締めすると15~30分ぐらいは様子を見る。漏洩量は軸径にもよるがパッキン摺動部(しょうごうぶ)の潤滑、冷却の点から5~10l/hを目安に調整するとよい。 ←ヨットでこんなに出たら水没する!!
3・28図パッキンの切断例


